「収入の何割を住宅ローンの返済に充てればいいの?」
「返済額は毎月いくら払う必要がある?借り入れ可能額を知りたい!」
「できるだけ毎月支払う額を抑えたい!」
住宅ローンで毎月支払う額によっては日常生活にも影響が出るので、返済額を把握してから家を購入したいですよね!
この記事では、ハウスメーカーの営業職を15年以上担当した筆者が、以下の内容を解説します。
- 「返済比率」の概要
- 年収ごとに借り入れられる金額
- 返済比率を抑える方法
- 注目すべき指標
- 返済に苦労しないための方法
ご自身の年収で快適に暮らしつつ、将来問題なく完済できる金額を把握できますので、ぜひ参考にしてみてください!
住宅ローンの収入割合「返済比率」とは?目安や上限をサクッと解説
住宅ローンの収入に占める返済額の割合を表す指標として「返済比率」があります。別名で返済負担率とも呼ばれており、以下の計算式で求められます。
返済比率(返済負担率)=年間返済額÷額面年収
手取りではなく、1年間にもらった給与の総支給額である「額面年収」で計算します!
たとえば、年収600万円の人が年間150万円で家を返済すると、返済比率は25%です。ローンを組む人が、問題なく生活を送りながら返済できるかどうかの指標として重要視されています。
ここでは、概要となる以下の項目について解説します。
- 返済比率の目安や平均値
- 返済比率の上限
1つずつ確認していきましょう。
1.返済比率の目安や平均値
返済比率は無理なく返済できるよう、手取り収入の20%未満がよいとされています。
手取りの年収が800万円の場合、160万円以下に抑えるとよいということですね!
「令和5年度 住宅経済関連データ」によると、手取り月収や毎月の返済額の平均は、以下のような数値であることがわかりました。
- 手取り月収の平均値:556,998円
- 毎月の返済額の平均値:91,071円
- 返済比率の平均値:16.4%
平均値を見ていると、ほとんどの人が無理なく返済できるようローンを組んでいますね!
ただし、注文住宅の場合は月に約116,000円返済しているというデータがあり、返済比率を計算すると20.8%とやや高くなっています。
2.返済比率の上限
返済比率は金融機関や融資条件によって異なりますが、25%~35%が基準として設定されている場合が多いです。返済能力を超えた融資となることを防ぐために、条件を設けていることがほとんどです。
基準を超える返済比率を設定すると審査にとおらなくなってしまいます!
また、年収によっても返済比率の上限が決まっています。たとえば、住宅金融支援機構の返済ローン「フラット35」を利用する場合、返済比率の上限値は以下のとおりです。
- 額面年収400万円以下:30%
- 額面年収400万円以上:35%
上限値に設定すると審査にとおらないことがあるので、借りたい金額を下げることを考えましょう。
なお、住宅ローンの選び方については、関連記事「【後悔しない】住宅ローンの選び方を初心者向けにプロが徹底解説!失敗を防ぐポイントも紹介」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
【年収別】住宅ローンに占める返済額の割合と借り入れ可能額の目安
借り入れ可能額=年間返済可能額 ÷ 12ヶ月 ÷ 100万円あたりの月返済額 × 100万
年間返済可能額=額面年収×返済比率
100万円あたりの月返済額は金利と借り入れ期間によって決められています!
たとえば、金利が1%で返済期間が35年の場合は2,823円です。借り入れ期間が短く、金利が高いほど100万円あたりの月返済額が高くなります。
ここでは、以下の条件における借り入れ可能額を年収別で紹介します。
- 年収:400万円~1,000万円(200万円ずつ紹介)
- 返済比率:20%~35%(5%ずつ紹介)
- 返済期間:35年
- 金利:1%
- 100万円あたりの月返済額:2,823円
- 返済方法:元利均等返済
自身の年収でどれくらい借り入れられるかおおよその金額を把握できるので、ぜひ参考にしてみてください!
1. 年収400万円の場合
返済比率 | 年間返済額 | 月間返済額 | 借り入れ可能額 |
---|---|---|---|
20% | 80万円 | 6.7万円 | 2,362万円 |
25% | 100万円 | 8.3万円 | 2,952万円 |
30% | 120万円 | 10.0万円 | 3,542万円 |
35% | 140万円 | 11.7万円 | 4,133万円 |
35年でローンを組むことで返済比率が20%でも2,300万円以上の借り入れが望めます!
2. 年収600万円の場合
返済比率 | 年間返済額 | 月間返済額 | 借り入れ可能額 |
---|---|---|---|
20% | 120万円 | 10万円 | 3,542万円 |
25% | 150万円 | 12.5万円 | 4,428万円 |
30% | 180万円 | 15万円 | 5,313万円 |
35% | 210万円 | 17.5万円 | 6,199万円 |
返済比率20%でも3,500万円以上借りられるので、30坪2階建ての一軒家を建てるのには充分です。
3. 年収800万円の場合
返済比率 | 年間返済額 | 月間返済額 | 借り入れ可能額 |
---|---|---|---|
20% | 160万円 | 13.3万円 | 4,723万円 |
25% | 200万円 | 16.7万円 | 5,904万円 |
30% | 240万円 | 20.0万円 | 7,085万円 |
35% | 280万円 | 23.3万円 | 8,265万円 |
返済比率20%で4,700万円以上、35%であれば8,200万円と、土地の取得と一軒家の建設ができるくらいの金額を借り入れる可能性があります!
4. 年収1,000万円の場合
返済比率 | 年間返済額 | 月間返済額 | 借り入れ可能額 |
---|---|---|---|
20% | 200万円 | 16.7万円 | 5,904万円 |
25% | 250万円 | 20.8万円 | 7,380万円 |
30% | 300万円 | 25.0万円 | 8,856万円 |
35% | 350万円 | 29.2万円 | 1億332万円 |
年収1,000万円の人であれば、場所や設備に突出したこだわりがない限り、快適に住める家を購入できるほどの金額を借り入れられます。
借り入れ可能額について詳しく知りたい方は、住宅の専門家に相談することを検討しましょう。
すーさんの相談窓口なら、住宅選びやローンの組み方など、あなたが家づくりで悩んでいることについて解決できます。
ハウスメーカーの営業職を15年以上した経験から、一人ひとりに最適な住宅ローンについても紹介していますので、お気軽にお問い合わせください!
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住宅ローンの収入に占める返済額の割合を抑える5つの方法
できるだけ生活に余裕を持たせながら返済できるよう、返済額の割合を抑える方法を5つ紹介します。
- 頭金を増やす
- 返済期間を長くする
- ほかのローンを返済しておく
- ボーナス払いを利用しない
- 団体信用生命保険の特約は最低限にする
借り入れ可能額を減らすことで返済への不安を軽くできるので、ぜひ試してみてください。
1. 頭金を増やす
頭金を増やすことで、借り入れ金額自体が少なくなり返済比率を抑えられます。
利息も減り、金融機関の適用金利が下がる可能性が高いです!
ただし、自己資金をすべて使わないように注意しましょう。子どもの学費やほかの建設に関わる費用などを支払えなくなるリスクがあります。
頭金の詳細は、関連記事「マイホームの頭金は住宅価格の1〜2割!価格別のシミュレーションや頭金ゼロの場合の注意点も解説」で紹介しています。あわせてお読みください!
2. 返済期間を長くする
20代くらいの人であれば、返済期間を長くすることで返済比率を抑えられます。
ただし、金利によっては総返済額が高くなるので注意が必要です。とくに30~40代の場合は負担額が重くなるので気を付けましょう。
返済期間の延長はあくまで最終手段として検討してみてください!
3. ほかのローンを返済しておく
返済比率は1年間で支払うすべての返済額から算出されるため、できるだけほかの返済ローンをなくしましょう。
ローンの返済の種類として、主に以下のようなものがあります。
- クレジットのリボ払い
- スマホの分割払い
- カーローン
- 奨学金の返済
これらが残っている場合は早めに返済することをおすすめします!
返済比率が高くなってしまうと、住宅ローンを借りられなくなる可能性があるので気を付けましょう。
4. ボーナス払いを利用しない
ボーナス払いは、毎月の出費が多い人が返済額を抑えるために活用することが多いですね!
ボーナス払いとは、ボーナス支給月に金額をプラスして返済する方法です。しかし、年2回のボーナス払いでは住宅ローンの元本を返済するスピードが遅くなり、結果的に返済比率が上がってしまいます。そのため、返済比率を下げたい人には向いていないといえます。
また、ボーナスは景気に左右されやすく、会社の業績次第では支給されないケースは少なくありません。不確実な収入であることを理解し、できるだけ活用しないようにしましょう。
5.団体信用生命保険の特約は最低限にする
団体信用生命保険の特約は金利が上乗せされるので、最低限の利用がおすすめです!
住宅ローンを利用するには、団体信用生命保険の加入が義務付けられている場合が多いです。一般的に住宅ローン金利に含まれているため、別途の支払いは発生しません。
ただし、ガンや心筋梗塞などの疾病保障特約を利用する場合、金利の上乗せが必要です。将来の健康不安を手厚く保障できるものの、返済比率が上がり住宅ローン審査に影響するので慎重に検討してください。
返済比率だけじゃない!住宅ローンを組む際に重要な2つの指標
返済比率以外の重要な指標として「完済年齢」と「年収倍率」があります。住宅ローンを借りる際は、3つの指標をバランスよく考慮して借入金額を決めましょう。
- 完済年齢
- 年収倍率
順番に解説します。
1. 完済年齢
住宅ローンは長期間にわたって返済が続くため、融資を受ける際は完済年齢を意識しましょう。30歳であれば、35年の長期ローンを組んでも定年退職する前に完済できる可能性が高いです。
一方、40代で35年ローンを組むと定年退職後も支払いは終わりません。年金だけで住宅ローンを支払い続けるのは、厳しい生活になるでしょう。
健康であれば、仕事を続ける選択肢もありますよね!
しかし、完済年齢にこだわると返済期間が短くなって毎月の支払い額が増えます。退職後の支払いが生じそうな場合には、仕事を続ける選択肢を視野に入れておくといいでしょう。
2. 年収倍率
年収倍率は、住宅ローンを借りる際の目安となる指標です。世帯年収の5~7倍が融資を受ける基準となり、8~10倍が限界値とされています。
年収500万円の世帯で4,000万円の住宅ローンを借りた場合の試算は、以下の通りです。
住宅ローンのシミュレーション | 概算値 |
---|---|
融資額 | 4,000万円 |
自己資金 | なし |
返済期間 | 35年 |
金利(全期間固定型) | 1.8% |
年収倍率 | 8倍 |
シミュレーションの結果、返済総額は53,943,350円で毎月の返済額は128,436円となりました。年間返済額は1,541,232円で返済比率は約31%です。
毎月余裕のない生活が続くと、冠婚葬祭などの突然の出費が発生したときに大変な思いをする可能性があります!
貯金額や金利の状況によって限界値は変わります。しかし、固定資産税や修繕費・メンテナンス費用など住宅ローン以外にも支払いが発生するので、年収倍率は5~7倍に抑えるようにしましょう。
住宅ローンの返済に苦労しないためのポイント8選
住宅ローンを組むときや返済途中で苦労することがないよう、以下の8点に注意が必要です。
- 家計が圧迫されないようにする
- 繰り上げ返済を活用する
- 条件のよい人ほど借りすぎないようにする
- 個人事業主は所得で判断する
- 金利タイプや返済方法も考慮する
- 適用金利と審査金利について理解する
- 複数の金融機関に申し込む
- 建築費を見直す
住宅ローンを完済するためのコツを把握できますので、返済に不安のある方はぜひご覧ください。
なお、住宅ローンの不安を解消する方法は、関連記事「【不安解消】住宅ローンを心配しすぎてしまう人必見!5つの対策や組み方のコツを紹介」で詳しく解説しています。あわせてお読みください!
1. 家計が圧迫されないようにする
返済比率を高くしすぎると、家計を圧迫してしまうので注意しましょう。
子どもの学費や教育費、老後の資金などしっかりマネープランを考えてローンを組むことが大切です!
35%や40%に設定すると返済に苦しむリスクが高まるので、20%以下にしましょう。
2. 繰り上げ返済を活用する
できるだけ早期に完済できるよう、繰り上げ返済の活用がおすすめです。
今後返済する予定の金額を先に支払うことで利息額を軽減できます!
総返済額が低くなり、完済までの時間も短縮できるので、老後の資金に充てられるようになるでしょう。
3. 条件のよい人ほど借りすぎないようにする
大企業で働いている人や公務員は安定した年収が得られることで、銀行側がお金を貸したがるので注意が必要です。
返済比率が40%でも貸してくれるので、つい借りたくなるかもしれません!
手取りに対しての負担率が50%超えると生活に支障をきたすリスクがあります。最悪の場合、貯金ができず子どもの学費を払えなくなる事態になるかもしれません。
「借りられる金額」よりも「返せる金額」を意識してローンを組むことが大切です!
借りすぎて後悔しないポイントについては、関連記事「【要チェック】住宅ローンの借りすぎは後悔のもと!8つの注意ポイントや借り入れ額の目安を解説」で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
4. 個人事業主は所得で判断する
個人事業主の場合は一般的な会社員の年収で計算できないため、確定申告書の所得で判断しましょう!
所得は売上から経費を差し引いた利益のことです。売上が高くても経費が多いと所得が低くなり、住宅ローンの審査で不利になる場合があります。
また、安定的に収入を得られない個人事業主は会社員の返済比率の考え方とは異なるため、審査に影響する可能性があることを把握しておくことが必要です。
5. 金利タイプや返済方法も考慮する
- 固定金利型:金利が一定のローン
- 変動金利型:定期的に金利が変動するローン
- 固定金利期間選択型:金利を固定か変動かを選べるローン
金利タイプによって総返済額が変動します。
将来設計を立てやすいのは、固定金利型です!
また、返済方法については、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
元利均等返済は「元金+金利」を一定額支払い続ける方法で、元金均等返済は元金だけが一定で金利が徐々に減っていく返済方法です。
前者は一定金額で支払いたい人、後者は元金を早く減らして金利支払いを抑えたい人におすすめします。
6. 適用金利と審査金利について理解する
適用金利と審査金利を把握することで、借り入れ限度額を調整できます。
適用金利は実際に適用される金利で、審査金利は審査で使われる金利のことです!
適用金利が上がると返済額が大きくなってしまうため、審査ではあえて金利を高くして無理な借り入れを防止しています。
金利の種類によって借り入れ可能額や返済額が変わるため注意が必要です。
7. 複数の金融機関に申し込む
住宅ローンの申し込みは、複数の金融機関に仮審査を申し込みましょう。複数の金融機関に仮審査を申し込めば、条件に合った融資が受けられます。
仮に1つの審査に落ちたとしても、全ての金融機関で同じ結果になる訳ではありません。各金融機関によって審査基準が違い、融資額や金利などの条件も大きく異なります。
比較検討することで、より条件に合った金融機関が選択できますよ!
しかし、あまりに多くの金融機関に審査を依頼すると個人の信用情報に履歴が残るため、3社程度に絞って審査を受けてみてください。
なお、少しでも低い金利で住宅ローンの契約をしたい人は、モゲチェックの利用をおすすめします。希望に合った条件の住宅ローンが見つかるサービスです。
希望額や年齢などを記入すれば、無料診断できるのでぜひ使ってみてください!
モゲチェックの詳細は、関連記事「【金利0.1%の差が命取り】住宅ローンの負担を下げるにはモゲチェックがおすすめ!使い方をわかりやすく解説」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
8. 建築費を見直す
せっかく注文住宅を建てるなら、理想に近いマイホームを実現したくなるでしょう。しかし、予算内に収まりきらない場合には、建築費を見直す必要があります。
建物の規模や形、窓の数など、コストを下げられないか施工会社の担当者と相談しながら検討することが必要です。コスト削減したい場合には、凸凹が少なく施工に手間がかからないシンプルな家にすることをおすすめします。
屋根の形状や外構・床面積など、住み心地を考慮して考えてみてください!
住宅ローンは収入に占める返済額の割合で決めよう
住宅ローンは、収入に占める返済額の割合が20%以下になるように抑えましょう。20%以下にすることで、暮らしに必要な資金を確保しつつ、滞りなく返済可能です。
年収や金利、返済比率などによって借り入れ可能額が異なるので、金融機関に算出してもらってから審査を依頼しましょう。
返済に苦しまないよう、家計やライフプランを考慮して、最適な住宅ローンを組んでみてください。
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