「ホームインスペクションは中古物件購入時にするものでは?」
「新築ならホームインスペクションは必要ない?」
「新築で見つかった不具合にはどんなものがある?」
家は高い買い物なので、追加費用がかかるホームインスペクションを依頼するか悩みますよね。
施行業者には「必要ない」と言われた方も多いでしょう。
しかし、ホームインスペクションは、劣化以外にも施工不良が原因の不具合も検査でわかるため、新築でも有効です。
実は、新築住宅にホームインスペクションは無駄だと言うのは、業者側の都合であることがほとんどなのです!
この記事では、住宅のプロの視点でホームインスペクションの重要性について解説します。
- 必要な理由
- 実際に見つかった不具合事例
- 行うタイミング
- 注意点
- 依頼先の選び方
住み始める前に施工不良を発見しておきたい方は、ぜひ最後までお読みください!
ホームインスペクションは新築でも無駄ではない
ホームインスペクションは住宅の劣化だけではなく、欠陥や施工時のミス、不備などによる不具合も検査対象です。入居前に不具合がないかを確認できるため、費用が無駄になることはありません。
なお、日本では2018年4月の法改正により、中古住宅の売買において仲介業者は消費者に対してホームインスペクションについて説明し、希望に応じて斡旋を行うことが義務付けられました。
住宅内部の劣化は素人の目で見つけることが困難なため、安心して住宅を購入できるようにするために行います!
施行業者によっては、新築住宅の引き渡しをスムーズに行いたいため「ホームインスペクションは必要ない」と言うことがあります。しかし、安全性を確保しておきたいのであれば、ホームインスペクションを行っておくのがおすすめです。
ハウスメーカーからすれば、引き渡し直前に施工不良が見つかると、不都合ですもんね。
ホームインスペクションをしなくて後悔した事例については関連記事「【新築も必要】ホームインスペクションを実施しなくて後悔した事例3選!3つの注意点や業者選びのポイントまで詳しく解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
ホームインスペクションが新築でも必要な5つの理由
新築にもホームインスペクションが必要な理由は以下の5つです。
- 業者が用意した検査は品質保証とは限らない
- 10年保証の対象外になるケースがある
- 住宅瑕疵担保責任保険が支払われる確証はない
- 大手ハウスメーカーでも施工不良はある
- 新築住宅に関する相談件数は増えている
それぞれ解説します。
なお、ホームインスペクションの必要性は関連記事「【プロが断言】ホームインスペクションは必要ないは信じるな!やるべき理由や申し込むタイミングを解説」でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
1. 業者が用意した検査は品質保証とは限らない
業者が「建築工程に第三者機関の検査が入っているから大丈夫」と言っていても、検査内容が品質保証とは限りません。
第三者機関の検査内容が、法や瑕疵保険の基準などに適合しているかの確認である場合は、品質に関する箇所は細かく見ないためです。
2. 10年保証の対象外になるケースがある
業者が言う「新築は10年保証があるため何かあっても大丈夫」には、根拠がありません。10年保証の範囲は構造耐力上、主要な部分と雨水の浸入を防止する部分に限定されているためです。
住宅の欠陥による問題は対象外となる箇所が多いため、10年保証があるからホームインスペクションは不要とはなりません!
3. 住宅瑕疵担保責任保険が支払われる確証はない
瑕疵担保保険とは、新築住宅に欠陥や不具合が見つかった場合に、補修を行った事業者に支払われる保険です。
業者は「住宅瑕疵担保責任保険があるから施工不良による不具合があっても大丈夫」と言うケースがありますが、絶対に保険金が出る確証はありません。
どんなに手厚くしても、支払い条件を満たしていなければ保険が下りないこともありますよ。
後から修繕費が必要になるのなら、新築を建てた段階でホームインスペクションを実施し、安心して暮らせるようにしたほうがいいですよね。
4. 大手ハウスメーカーでも施工不良がある
自社が大手ハウスメーカーであることを理由に、ホームインスペクションを不要だというケースがあります。しかし、大手であることで施工不良が発生しない根拠にはなりません。
業者の規模に関係なく建築は人の手で行うので、ミスが起こる可能性はあります!
5. 新築住宅に関する相談件数は増えている
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、新築住宅に関する相談件数は、年々増加傾向にあります。
新築等新規相談件数 | |
---|---|
2018年 | 20,509件 |
2019年 | 22,054件 |
2020年 | 19,872件 |
2021年 | 23,994件 |
2022年 | 23,529件 |
中古住宅のホームインスペクションについて法改正があった2018年以降だけ見ても、相談件数は増えていますね!
相談件数が増えているということは、施工完了後に不具合が見つかったことが考えられます。後から相談するのは時間も手間もかかるため、ホームインスペクションを実施する必要があると言えるでしょう。
ホームインスペクションが新築でおすすめな理由3選
ホームインスペクションを行うメリットは以下の3つです。
- 自分だけでは気が回らない部分までチェックできる
- 引っ越す前に修繕できる
- 安心感が増す
それぞれ見ていきましょう。
1. 自分だけでは気が回らない部分までチェックできる
ホームインスペクションを依頼しない場合でも、引渡し前の内覧会では業者と一緒に確認します。
しかし、素人が目視で判断できる場所は限られているため、明らかな施工不良でなければ気付くことは難しいです。
ホームインスペクションを依頼すると、屋根裏や床下などの検査もしてもらえます。
同じことを素人がやっても、どこを見て、どうなっていたら問題があるのかは判断できません。
2. 引っ越す前に修繕できる
引っ越し後に修繕が必要な箇所が見つかった場合、不具合の内容によっては生活に支障が出ます。ホームインスペクションで不具合を確認できれば、入居前に修繕できます。
建てた家に住み始めてすぐに不具合が出たら、不安で仕方ないですよね!
3. 安心感が増す
ホームインスペクションを行っておくことで、安心して入居できます。プロの第三者がしっかりチェックしてくれているため「もしかしたら施工不良かもしれない」という、不安を払拭してくれるからです。
不具合が見つかった場合には、入居前に修繕できるのが嬉しいポイントです。
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新築だから安心は噓!実際に見つかった不具合事例4選
新築住宅で実際にホームインスペクションで発覚した施工ミスは、以下の4つです。
- 床下に水たまりができていた
- ダクトをつけ忘れていた
- 屋根裏の柱をつけ忘れていた
- 電気コードを覆う配管が違った
具体的な事例を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
1. 床下に水たまりができていた
床下の点検口から床下空間に進入して確認してみると、進んだ先に水たまりが残っていた事例です。新築でありながら溜まった湿気が原因でカビの繁殖も見られました。床下が水浸しになる原因は、以下の通りです。
原因 | 症状 |
---|---|
給・排水管からの水漏れ | 配管から水が漏れている |
雨水の侵入 | 床下の通気口や基礎部分が湿っている |
床下の換気が不十分 | 結露している |
施工時の排水不足 | 床下に湧水が溜まっている |
床下が水溜まりになってしまう最も多い原因は、給水管・排水管からの水漏れです!
床下の浸水に気付かないと、カビやシロアリが発生する原因となります。また、水漏れの原因解決は水道工事業者ですが、家の構造は施工業者にお願いすることになるので間違えないよう注意しましょう。
2. ダクトをつけ忘れていた
ユニットバスの天井点検口を開けて確認したところ、蒸気が漏れてカビが発生していました。ユニットバスの「換気扇ダクト」を取り付け忘れたのが原因です。
換気扇ダクトを取り付け忘れた原因は、ユニットバスを複数の業者で設置しているためです!
担当業者 | 内容 |
---|---|
ユニットバス業者 | ・ユニットバスの組み立て ・排水配管の接続 ・窓とユニットバスの接続 ・換気扇ダクトの取り付け |
電気業者 | ・照明電源の接続 ・換気扇電源の接続 ・換気扇ダクトの接続 |
水道設備業者 | ・水道設備管の配管 |
ガス業者 | ・天井換気扇がガス式の時のみ |
それぞれの業者が作業を行うため、接続ミスが起きます。現場監督が工程表を細部まで確認していれば起こらなかったミスですが、複数の現場を抱えていて管理しきれないのが実情でしょう。
3. 屋根裏の柱をつけ忘れていた
小屋裏収納を確認したところ、居住スペースと屋根を支える柱をつけ忘れていた事例です。屋根の荷重を支える重要な柱であるため、つけ忘れや接続がずれていると家の強度が低下します。
屋根裏はなかなか見ることはできず、構造も複雑で専門の知識が必要です。固定金具や部材の付け忘れ・間違いに気づかないケースもあります。
役所の確認申請が通っても安心できませんよ!
- 建蔽率(建ぺい率)
- 容積率
- 北側斜線制限
- 間取り
- 居室の採光
- シックハウス対策
建築基準法に則っていても施工不良はわからない実情を把握しておきましょう。
4. 電気コードを覆う配管が違った
屋外に使う電線管の種類を間違えると、紫外線で劣化してしまいます。電気の配線を覆う電線管には合成樹脂製のPF管とCD管があり、それぞれの特徴は以下の通りです。
種類 | 特徴 |
---|---|
PF管 | 耐候性があるが高価 |
CD管 | 安価だが耐候性がない |
耐候性とは、 雨風や温度変化、太陽光など天候による変質や劣化しにくい性質をいいます。そのため、耐候性のあるPF管は屋外の配線カバーに適しているといえます。
PF管は厳しい天候条件にも耐えられる複層構造のタイプや豊富なカラーバリエーションも魅力ですよ!
一方、耐候性がないCD管はコンクリートの埋設やケーブルの保護に使います。電線管のミスは、単純な配管ミスと経費削減の場合があります。
CD管の配色は、各メーカーがオレンジ色に統一されているので、外で見かけた際は施工業者に確認してみてください。
新築でホームインスペクションを行うベストタイミング
ホームインスペクションを最大限利用するには、引っ越す前に済ませる必要があります。
入居後も依頼できますが、生活への支障を考えると入居前がおすすめです!
中古住宅や新築住宅でも建築済みの場合は、申し込み後から契約前までの間で内覧会に同行してもらう手があります。建築途中やこれから建てる場合には、以下のような建築途中のタイミングでも依頼可能です。
- 基礎コンクリートの打設前
- 構造金物や防水加工が確認できるタイミング
- 室内側から壁の断熱材の施工しているタイミング など
もっと細かいタイミングでも依頼はできますが、回数を増やすと費用が多くかかることになります。
見積もりをしてみて、費用に見合った安心感を得られるか確認したほうがよいですね!
ホームインスペクションを新築で行う際の3つの注意点
ホームインスペクションを実施するうえでの注意点は、以下の3つです。
- 費用が発生する
- すべての瑕疵は発見できない
- 業者に嫌がられる可能性がある
注意点を踏まえて、安心で満足できる新築住宅を手に入れてください。
1. 費用が発生する
新築住宅のホームインスペクションの相場は、4〜7万円と言われています。依頼する業者によって可能な検査内容が異なりますが、精密な検査を行ったり回数が多くなったりすると費用は増加する傾向です。
また、これらの費用は基本料金のみなので、床下や屋根裏を調査する際はオプション費用がかかることもあります。オプション費用は1.5〜3万円なので、基本料金とあわせて検討しましょう。
会社によって検査内容が決められていたりオプションがあったりするので、依頼先は慎重に選ぶ必要がありますね!
2. すべての瑕疵は発見できない
完成した住宅の調査では、全ての瑕疵は発見できません!
国土交通省で定められた基本調査の方法は計測や目視・打診が基本です。目視などによる非破壊行為による調査になるため、基礎や壁内部などの瑕疵の発見は不可能でしょう。
デジタル機器を活用した調査は、どのような機材を使った調査なのか判断が難しいです。また、建築工事中に複数回実施する基礎や構造、断熱の調査は精度が高く信用性がありますが、費用が高額になってしまう欠点があります。
参照:国土交通省|調査方法基準
3. 業者に嫌がられる可能性がある
施工業者側からすると、細心の注意を払っているのに疑われていると勘違いされる場合があります。そのため、調査結果によっては施工業者との関係性が悪くなってしまう可能性があります。
担当者との関係性も気になりますよね!
また、建築確認申請のために施工業者が検査を実施しているケースもありますが、検査項目は非常に簡易的なので不具合は発見できません。
床下や屋根裏の欠陥は一般の人では気づけないため、粘り強く説得してみてください。
新築のホームインスペクションの依頼先を選ぶ3つのコツ
ホームインスペクションを依頼する業者は、どこでもよいわけではありません。ここでは、選ぶ際のコツを3つ紹介します。
- 透明性があるか
- 正社員が検査を行っているか
- 実績が豊富か
それぞれ見ていきます。
1. 透明性があるか
ホームインスペクションの依頼先として、中立の立場で透明性があることは重要です。施工業者から紹介された業者が都合のよい検査結果を出す可能性があります。
癒着があるとは言いませんが、安心感を得るためにホームインスペクションを依頼するなら、自分で探したほうがよいですね!
2. 正社員が検査を行っているか
ホームインスペクションを依頼しても、実際に検査するのが正社員ではない可能性があります。正社員ではない場合、時間をかけて細部まで検査してもらえない可能性があるためおすすめしません。
斡旋された人の場合、一棟当たりで報酬が計算される契約の場合が多いため、短時間で済まそうとする人がいるようですね!
また、ホームインスペクションを行う人が資格を有していても、実際の検査作業に精通しているかは別の話です。「一級建築士の資格を持っているから安心」とはなりません。
診断士が一級建築士を持っているとアピールしているようであれば、気を付けましょう。
3. 実績が豊富か
ホームインスペクションに精通している人に行ってもらったほうが、安心感は増加します。
ホームインスペクションは、資格や知識があれば住宅の不具合を見つけられるものではありません!
日本では2018年4月からホームインスペクションについての説明が義務化されたため、実績が少ない会社もあります。会社としての実績が少なければ、実際にホームインスペクションを行ったことある正社員も少ない可能性があります。
ホームインスペクションに力を入れていない会社は、避けたほうがよいですね!
ホームインスペクションは新築でも実施しよう
施工不良により新築住宅に不具合が起こった場合、保証や保険があっても生活に支障が出ないわけではありません。事前にリスクを減らし安心感を増やすには、ホームインスペクションを実施しましょう。
施工業者からすれば、新築住宅においてホームインスペクションをするのは都合の悪いことが多いため、おすすめされません。
しかし、実際に施工不良があった場合に一番損害を受けるのは、その家に住む人です。
ホームインスペクションに限らず、素人が業者に言われたら、迷ってしまうのは仕方ありません。後悔しないためには、第三者の目線で中立的にアドバイスしてくれるプロに相談することが重要です。
「すーさんの相談窓口」では、これまで5,000名以上の相談に乗ってきた私が、丁寧にアドバイスいたします。
ホームインスペクションだけでなく、家づくりに関する悩みを何でも受け付けているので、ぜひお気軽にご連絡ください!