「二世帯住宅はやめた方が良いと言われがちだけど、実際どうなの?」
「どんな間取りなら安心して暮らせる?」
「気をつけるべきポイントを知りたい!」
親世帯と子世帯がひとつ屋根の下で暮らす二世帯住宅。親の介護や子どもの世話などを考えると便利なイメージがありますが、いざ実践するとなると不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
家族の関係性や距離感によっては、ジェネレーションギャップや息苦しさを感じてしまいそうです…!
この記事では、元大手ハウスメーカーの営業マンだった筆者が、二世帯住宅について以下の内容を解説します。
- やめた方がいいと言われる理由
- 間取りタイプ
- やめた方がいい人の特徴
- 魅力とトラブルを防ぐポイント
ぜひ最後まで読んで、二世帯住宅を建てるかの判断材料にしてみてください!
二世帯住宅をやめた方がいいと言われる7つの理由
二世帯住宅をやめた方がいいと言われる理由は、以下のとおりです。
- 生活リズムがあわないとストレスになる
- 建築費の負担で揉めやすい
- 水道光熱費の負担で揉めやすい
- プライバシーを確保しにくい
- 共用部分の使い方で揉めやすい
- 相続でトラブルになる可能性が高い
- 売却しにくい
順に解説します。
1. 生活リズムがあわないとストレスになる
働き盛りの子世帯と、家にいることが多い親世帯の生活リズムがあわないために、お互いにストレスを感じるのはよくある事例です。
夜遅くに仕事から帰ってきた息子の食事や入浴などの生活音が気になる・親世帯が朝早くから活動しているので休日なのにゆっくり寝られないなどのケースが想定されます!
世代間ギャップがある中で、生活リズムを揃えるのは簡単ではありません。多少のことは我慢をしたり話し合ったりすることで、折り合いをつけましょう。
2. 建築費の負担で揉めやすい
家づくりの場合、頭金と住宅ローンそれぞれの負担について話し合う必要があります。
よくあるケースは以下のとおりです。
- 頭金は親世帯が出し子世帯は住宅ローンを支払う
- お互い完全に折半にして支払う
双方が払うから問題ないと楽観的に考えがちですが、ローンに関しては数十年支払い続けることがほとんどなので、リスクを踏まえる必要があります。
親世帯の収入が減ったために払えなくなったり、子世帯の収入が減って返済がきつくなってしまったり。リスクはさまざまです!
ローン返済が滞ると、二世帯住宅を売却しなければならないので要注意です。
3. 水道光熱費の負担で揉めやすい
メーターを分けているのなら問題ありませんが、基本料金を1軒分として契約している場合、世帯ごとの負担額を検討しましょう。
光熱費が折半だと、ほとんどの時間を家で過ごす親世帯に対して、子世帯が不公平に感じる可能性があります!
また、子どもがいる分お風呂を使う回数が多い子世帯と、夫婦しか入らない親世帯の水道料金が折半だと、親世帯が不満を抱くことも想定されるでしょう。
人数が増えるほど、意思の調整が難しくなりますね…
暮らしに欠かせない水道光熱費。高騰している現状を踏まえ、しっかり話し合ってみてください。
4. プライバシーを確保しにくい
一緒に暮らすことでプライバシーを確保しにくくなるので、実の親子関係がない配偶者はストレスを感じやすいでしょう。
プライベートな空間であるはずの自宅が、気を遣う環境になるのは苦しいですね…
「ストレスが溜まりすぎて子世帯が家を飛び出した」「耐えきれなくなり離婚に発展した」といった話も珍しくありません。プライバシー確保のための対策を講じておくと安心です。
5. 共用部分の使い方で揉めやすい
キッチンやリビングといった部屋以外のスペースを共用にしていると、譲り合ったり気にしなかったりでトラブルに発展することが珍しくありません。
洗濯機ひとつでも、どちらの世帯が先に使うかで揉めることがあるそうです…!
使いたいタイミングで共有スペースを使えないのは想像以上に不便です。プライバシーの確保と同様、事前にルールを決めておくと安心でしょう。
6. 相続でトラブルになる可能性が高い
二世帯住宅が親と子の共有名義の場合、親が他界すると共有持分が相続の対象になります。
子に兄弟姉妹がいると、遺産の分割方法を巡ったトラブルに発展しやすいので要注意です!
親の遺産が二世帯住宅の共有分しかない場合、住宅を売却して遺産を分配しなければなりません。親の他界により、住む場所を失う可能性があることは考慮しておきましょう。
7. 売却しにくい
二世帯住宅は、それぞれの家庭の事情を考慮しながら間取りを考えます。そのため、一般的な注文住宅より売却する際に買い手がつきにくいデメリットがあります。
とくに、シェアしているスペースの多い二世帯住宅は、売却が難しくなる可能性が高いです…!
そのほかの二世帯住宅のメリット・デメリットについては関連記事「【保存版】二世帯住宅のメリット・デメリット14選!克服のコツやおすすめ間取りも紹介」で解説しています。あわせて参考にしてみてください!
やめた方がいいのはどれ?二世帯住宅の間取り3種類
一口に二世帯住宅といっても、共用スペースの間取りによって主に以下3つのタイプに分けられます。
- 完全同居型
- 部分共用型
- 完全分離型
順に解説します。
1. 完全同居型
完全同居型は、玄関やリビングといった部屋以外の生活スペースを2世帯で共有する間取りです。共有スペースが多い分、他のタイプの二世帯住宅よりも建築費が抑えられるのが特徴です。
同居のように、親世帯と子世帯が交流する機会が多い間取りと言えます!
ただし、お互いの生活音が気になったり、ひとつの設備を多くの人数で共有することがストレスに感じたりするデメリットもあります。
2. 部分共用型
部分共用型は、完全同居型と完全分離型の間をとった間取りです。完全同居型とは異なり、一部のスペースはそれぞれの世帯用にひとつずつ用意されています。
部分共用型だと、1階部分を親世帯・2階部分を子世帯が使用するケースが多いので、プライバシーを確保しやすいです!
ただ、設計時にどこまでを共用するか話し合わなければ、暮らし始めてからトラブルに発展することがあるので気をつけましょう。
以下の間取りは、部分共有型の一つの例です。こちらの例は、母・夫・妻・娘の三世代同居を想定しています。
玄関は1つで、LDKは4人で食卓を囲める間取りです。小規模のリビングを母用と夫婦用にそれぞれ設けられているほか、2階にはメインの浴室とは別にシャワールームが設けられています。
家族全員が集まる場が用意されている上に、母と夫婦が互いに気を遣わないように工夫されていますね!
3. 完全分離型
完全分離型は、ひとつ屋根の下でありながらも、全てのスペースがそれぞれの世帯用に用意されている間取りです。マンションの隣の部屋をイメージするとわかりやすいでしょう。
光熱費や食費が別々なので、費用負担で揉めることはありません!
ただし、設備がそれぞれ2つずつ必要なため、建築費が高額になるケースがほとんどです。また、共用部分が少ないので、コミュニケーションの頻度が減ることも知っておきましょう。
以下の間取りは、完全分離型の例です。一つの建物ではありますが、玄関は別になっており、室内も互いのスペースには入れないように設計されています。
引用:兼六土地建物株式会社
完全に居住スペースが区切られているので、アパートの隣りあわせの部屋に住んでいることと変わりませんね!
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二世帯住宅はやめた方がいい人の4つの特徴
二世帯住宅をやめた方がいい人の特徴は、主に以下の4つです。
- 神経質な家族がいる
- 親世帯と距離を置きたい
- パートナーが親世帯の肩を持つことが多い
- 来客が多い
順に解説します。
1. 神経質な家族がいる
人数が多いと、部屋が散らかりやすくなったり、お互いの生活リズムに配慮したりするケースが増えます。
とくに、親世帯が子世帯の生活音に不満を抱くケースが多いようです!
二世帯住宅は、他の人の生活リズムや価値観の違いが気になる神経質な人にはあまり向いていません。
もし二世帯住宅を建てるなら、完全分離型を選びましょう!
2. 親世帯と距離を置きたい
共用部分がある家ではコミュニケーションが発生しやすいので、ストレスを感じやすいです…
二世帯住宅を検討する際は、両親の家に頻繁に泊まりに行き、共に生活することに対してどう感じるのか体験してみるのがおすすめです。
3. パートナーが親世帯の肩を持つことが多い
パートナーが自分よりも両親の肩を持つと、3対1の構図が生まれてしまいます。
二世帯住宅でパートナーと対立してしまうと、疎外感や孤独感を抱きやすいです!
二世帯住宅で暮らすなら、パートナーが自分の意見や考え方を尊重してくれることは不可欠です。
4. 来客が多い
自身や親夫婦が頻繁に家に客を招く習慣がある場合には、二世帯住宅は避けた方が良いでしょう。
一方に来客があれば、やっぱり気を遣いますよね。
頻度が多いと、一方が家に居づらくなってしまいます。来客が多い家庭では、二世帯住宅は避けた方が無難です。
やめた方がいい理由ばかりではない!二世帯住宅の5つの魅力
二世帯住宅は互いのストレスになってしまうケースも多いですが、利点もあります。こちらでは、二世帯住宅の魅力を以下の5つから説明します。
- 親から建築費用を負担してもらえる
- 子育てや家事を協力し合える
- 親の介護がしやすい
- 補助金や税金面のメリットがある
- 空き巣に入られるリスクが減る
一つひとつ見ていきましょう。
1. 親から建築費用を負担してもらえる
二世帯住宅を建てる場合、親世帯と資金を出し合うことが一般的です。出し合う割合はそれぞれの家族の状況に寄りますが、親が多く出すというケースも多いようです。
親が住んでいた住居を売却して得た資金を建築費用に回すケースも多いですね!
夫婦で用意する資金と住宅ローンだけで建てるよりも、広くて設備が充実した家にできる可能性は高いでしょう。
2. 子育てや家事を協力し合える
親世帯と同居していれば、子育てや家事への協力が期待できます。夫婦共働きの場合は家に早く帰ることが簡単ではありませんが、親が居てくれれば子どもだけでの留守番を避けられます。
保育園に通う子どもがいても、親にお迎えに行ってもらえるので助かりますね!
また、日常的な家事への援助も期待できるでしょう。ただし何でも親に任せると、関係が悪化する可能性もあるので、事前に役割分担をしっかりと話し合っておいてください。
3. 親の介護がしやすい
二世帯住宅は、両親に介護が必要になった際に便利です。親の家まで行く必要がないため、時間の面で楽になります。また、日々顔を合わせられる環境にあることは、安心感も違います。
親が身体に不調がでてくることを考えると、同居はメリットがありますね!
足腰が弱くなった際に対応できるよう、あらかじめ家をバリアフリーにしておくことも大切です。
バリアフリーの家の間取りについては、関連記事「【快適】バリアフリーの家におすすめの間取り5選!住宅のプロがポイントや注意点も解説」で詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
4. 空き巣に入られるリスクが減る
警視庁の「住まいる防犯110番」によると、侵入窃盗で最も多い手口は留守宅を狙った「空き巣」で約1/4を占めます。
つまり家に人が居れば、侵入窃盗を受ける可能性は大きく下げられます。
働きに出ている夫婦の場合、平日日中は基本留守です。二世帯住宅で昼間家に親がいる時間が長ければ、その分侵入窃盗を受ける可能性は下がるでしょう。
5. 補助金や税金面のメリットがある
二世帯住宅を建てる際には、補助金や税制面の優遇を受けられます。主な補助制度は以下の表のとおりです。
制度 | 内容 | 補助金額 |
---|---|---|
地域型住宅グリーン化事業 | 優良住宅・省エネ性能住宅・三世帯同居住宅への新築・新築分譲住宅の購入への補助 | 30万円 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 三世代同居対応改修工事・子育てしやすい環境の整備など既存住宅の長寿命化や省エネ化などにかかる改修(リフォーム)にかかる費用の補助 | 100~200万円 |
補助制度はお住まいの自治体で独自に用意されているケースもあります!
税制優遇は、玄関・台所・トイレが世帯毎に用意されている二世帯住宅に適応されます。優遇措置は、以下の3点です。
優遇される税金 | 内容 |
---|---|
固定資産税(家屋) | 床面積240㎡分まで3年間1/2の減額となる |
固定資産税・土地計画税(土地) | 土地面積400㎡まで小規模住宅用地扱いとなり固定資産税の課税標準額が1/6に、都市計画税の課税標準額が1/3となる |
不動産取得税 | 最大2,400万円まで控除となる |
税金の優遇措置は、通常の控除額等が2世帯分になると理解しておきましょう。
二世帯住宅でトラブルにならないために気をつけたい5つのポイント
二世帯住宅でトラブルにならないために気をつけたいポイントを5つ紹介します。
- 間取りを工夫する
- 遮音性を高める
- 登記について確認する
- 間取りや仕様で譲れない点を明確にしておく
- 暮らしのルールを決めておく
どれも重要なので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 間取りを工夫する
二世帯住宅では親世代と生活スタイルが異なることで、騒音やプライバシーのトラブルが発生しがちです。トラブルを減らすためには、新築時に互いが暮らしやすい間取りを工夫しましょう。
たとえば「浴室を夜に使っても音が気にならないように親の寝室から離す」「夫婦と子どもだけで過ごせるサブリビングを設ける」などの工夫が考えられます。
互いの生活スタイルを尊重して、設計時にしっかりと話し合っておきましょう!
2. 遮音性を高める
生活リズムや世代が異なる二世帯の場合、生活音の対策は重要です。
階段や2階を歩く足音は意外と下の階に響きますし、テレビやゲームなどの音が原因で寝つけないこともあるようです!
遮音性を高めて音が気にならないようにすることで、ストレスを軽減できます。建築前の段階で、音が出る場所と寝室をできるだけ離しておくと安心です。
3. 登記について確認する
登記の方法によって、家の間取りだけではなくローンや税金も変わります。工事費用をどちらが多く負担するかによっても所有権の登記方法は異なります。
なお、登記の種類は以下のとおりです。
単独登記 | ・親と子のどちらかの所有という形での登記 ・工事費用を親と子で出し合って支払うと贈与税の対象になることがある |
共有登記 | ・親と子の共有名義での登記 ・工事費用の負担割合に基づいて所有権の登記をすることで贈与税のトラブルを回避しやすい |
区分登記 | ・区分所有という形で二世帯の住宅を2戸とみなした登記 ・所有者はそれぞれの世帯で異なるので両者とも税金の軽減措置を受けられる |
収入や財産の保有状況を踏まえて、専門家に相談すると安心でしょう!
4. 間取りや仕様で譲れない点を明確にしておく
新築時にお互いが満足できる家にするために、それぞれの譲れない点を明確にしましょう。たとえば「耐震性を重視したい」「アイランドキッチンにしたい」など、それぞれにとって譲れないポイントがあるはずです。
家が完成してから「やっぱりこうして欲しかった」と言っても遅いので、設計時に互いの理想をしっかり話し合うことが大切ですね!
5. 暮らしのルールを決めておく
住み始める際に、あらかじめ両者間でルールを決めておくとトラブルを未然に防げます。
たとえば、建築前段階であれば資金計画や負担割合、暮らし始めてからは水道光熱費や家事分担などが挙げられます。
人によっては小さな不満を口に出しづらいもの。共用部の掃除や収納の使い方まで、細かいところもしっかり話し合っておきましょう!
ストレスなく暮らし続けるために、入居前に限らず定期的に話し合いができるとなお良いです。
二世帯住宅をやめた方がいいのかは家族の距離感による
親世帯と子世帯がひとつ屋根の下で暮らす二世帯住宅は、介護や育児に便利な一方で、生活リズムの違いや費用負担でトラブルになりやすい問題点があります。
トラブルを防ぐために完全分離型を選んだり、共用スペースの使い方についてルールを決めたりすると安心です!
いくら家族でも、お互いに我慢や譲り合いを繰り返しているとストレスを感じてしまいます。長く暮らし続けるためにも、事前に話し合っておきましょう。
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