「地下のある家に憧れるけど、どのようなデメリットがあるの?」
「地下室づくりで失敗しないためのポイントを知りたい」
「どれぐらいの建築費用がかかる?」
地下のある家を建てるとしたら、どのようなデメリットがあるか気になりますよね。実は、地上だけの家を建てるよりも建築コストがかかり、採光が難しいなどのデメリットがあります。
まるで隠れ家のようで憧れますが、建てた後に「失敗した」なんて思いたくないですよね!
この記事では、大手ハウスメーカーで15年間の営業経験がある筆者が、以下の内容について解説します。
- 地下のある家づくりの基本
- メリット・デメリット
- 活用例
- 地下室が得意なハウスメーカー
地下のある家を建てたいと考えている方は、最後まで読んで参考にしてくださいね!
地下のある家づくりについてサクッと解説
地下のある家を建てる前に知っておいてほしいことを紹介します。
- 地下室には3つのタイプがある
- 居住スペースとして活用するには条件がある
- 地下室がつくれない土地に注意
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.地下室には3つのタイプがある
地下室には、以下の3つのタイプがあります。
- 全地下タイプ
- 半地下タイプ
- ドライエリアタイプ
それぞれの特徴を解説していきます。
1-1.全地下タイプ
部屋全体が外から見えないタイプです。そのため、窓などはつけられません。居室ではなく、物置や納戸として利用するのに向いています。
ホームシアターやワインセラー、演奏室をつくりたい方におすすめですね!
外から見えないため周囲の視線を気にする必要がなく、断熱性や遮音性が高くなっていることが特徴です。また、室温を一定に保てます。ただし、太陽光を採り入れたり、風通しをよくしたりするのは難しいため、湿気が溜まりやすいといえます。
1-2.半地下タイプ
居室全体の3分の1以上が地上に出ているのが半地下タイプです。傾斜や段差がある土地では、積極的に採用されています。
特殊な形状をしている土地を有効活用できます!
太陽光や風通しを確保できることもあり、地下室でよくあげられる弱みの一部をクリアできるのが嬉しいポイントです。また、地面をあまり掘らなくて良くなるので、コスト削減にもつながります。傾斜のきつい地域での建築を考えている場合は、選択肢の一つに入れておきましょう。
1-3.ドライエリアタイプ
「空堀(からぼり)」とも呼ばれ、居室のまわりを掘り下げるタイプです。そのため、外から居室を確認できます。
地上階と同じように太陽光や風通しが確保できるのが特徴です!
地下室とは思えないようなつくりなので、リビングや寝室としての活用ができます。ただし、雨水が溜まりやすいので排水対策をしなくてはなりません。
2.居住スペースとして活用するには条件がある
地階(地下室)は、以下のように定義されています。
地階 床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のものをいう。
引用元:建築基準法施工令の第1章第1節の第2条、建築基準法施行令
つまり、3分の1以上が地下に存在する必要があります。地下室を居室として使うには、以下の条件をクリアしなくてはなりません。
- 上部が外気に開放されている、もしくは、空掘り(ドライエリア)などの開口部がある
- 居室内に湿度調整・換気の設備がある
- 防水措置がされている
地下室を居室として使いたい場合には、建築前に条件を確認しておきましょう!
3.地下室がつくれない土地に注意
地下室は、すべての土地でつくれるわけではありません。以下にいくつかの例をあげました。
- 地面の下に水脈があって、土を掘ると浸水してしまうような土地
- 区画整理などで周辺に道路の拡張計画などがあり、コンクリートの打設が制限されている土地
- 隣の敷地や建物から一定の距離が取れない土地(幅は掘削する深さによって規定)
掘削できたとしても、周囲との関係で希望通りの広さが確保できない可能性もあります!
地下室をつくりたい場合は、土地探しからこだわって行いましょう。
なお、土地探しについては関連記事「【選択肢は4つ】土地探しはどこに行けばいい?失敗しないポイントをプロが伝授」で解説しています。ぜひお読みください!
地下のある家を建てる4つのデメリット
デメリットを把握してから建てれば、後悔せずにすむはずです。
- 地上階よりも建築費用が高額になる
- 湿気が溜まりやすく結露しやすい
- 浸水対策をしなければならない
- 採光は難しい
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.地上階よりも建築費用が高額になる
地下室のある家を建てる際に必要な作業や費用相場、概要は以下の通りです。
作業 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
地盤調査(ボーリング調査) | 25万~35万円 | 地下室の建築が可能な地盤かどうかを調査する |
構造計算費 | 地下室の部分:30万~45万円 木造の地上階の部分:20万~30万円 | 外からの加わる力に対して構造物がどのように変形するか、どこまで耐えられるかを計算する |
鉄筋コンクリート部分の設計図 | 30万~80万円 | 地下室の鉄筋コンクリート部分の構造図を設計する |
山留め工事費 | 150万~200万円 | 地下を掘る際に周囲の地盤が崩れないようにするため仮設壁を設置する |
掘削工事費 | 200万円 | 地下室を作るために地面を掘る |
地盤改良工事費用 | 100万~300万円 | 地盤を調査した後に、地盤改良が必要になった場合に発生する |
外壁の防水処理費用 | 80万円 | 地下室への浸水を防ぐために外壁の防水処理を行う |
排水ポンプ及びその設置費用 | 70万~110万円 | 災害による浸水時だけでなく、日常で発生する水を汲みだすための排水ポンプを予備も含めて2台設置する |
防潮板(止水板)などの設置費用 | 30万~60万円 | 入口から水が浸入するのを防ぐ防潮板を設置する |
天井や壁などに除湿素材の使用 | 10万~60万円 | 結露対策として調湿性能のあるタイルを利用する |
排気するための経路をつくる費用 | 5万~10万円 | 地上に排気できるよう換気経路をつくる |
ドライエリア用工事 | 150万円前後 | ドライエリアをつくる |
どれくらいの大きさの地下室を建築するかにもよりますが、坪単価は50~200万円程度かかります。そのため、地上階だけの家と比較したとき、最大1.5倍程度予算を取っておかなければならないことがあります。
地下のある家づくりでは、先にかかる費用を確認しておくと安心ですね!
2.湿気が溜まりやすく結露しやすい
地下室は温度が一定に保たれているので、結露ができやすくなります!
特に夏は外気温が高いため、室内との温度差が大きくなってしまいます。そのため、湿気対策が十分にされていないと、置いている物にカビが生えてしまうことがあるので注意が必要です。
湿気を溜めないようにするには、外気を室内に入れないようにし、除湿器を使用すると効果的です。
3.浸水対策をしなければならない
局所的な集中豪雨や台風などによって、地下室の浸水被害が起こることが増えています。
浸水対策には、以下のようなことがあります。
- マウンドアップ(出入り口の床を道路からある程度高くする)
- 開口部の位置を高くする
- 止水板を設置する
- 排水ポンプを設置する
- 排水口は逆流を防ぐ構造とする
- 土のうを設置する
ハウスメーカーと相談し、土地や家にあった対策を取りましょう!
対策を怠ると、道路側から流れてきた雨水によってドアが開きにくくなったり、下水が逆流したりする場合があります。地下室づくりでは、浸水対策にも配慮しなくてはなりません。
4.採光は難しい
窓がない地下室は、採光は難しいため明るい部屋で過ごしたい方にはおすすめできません。
ただし、ドライエリアタイプであれば、窓をつくり部屋を明るくできます!
地下にあるため、どうしても太陽光が入りづらいのが特徴です。自然光のある明るい空間づくりをしたい方は、地上階のみの家が向いています。
地下のある家を建てるか悩んでいる方は、家づくりの専門家にアドバイスをもらうといいでしょう。「すーさんの相談窓口なら」大手ハウスメーカーに15年勤務した経験のある、すーさんに相談可能です。
5,000名以上の家づくりの相談に乗ってきた経験を活かし、さまざまな事例を紹介します。無料で相談できるので、お気軽にご連絡ください。
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地下のある家を建てる5つのメリット
ここでは、以下の5つのメリットを紹介します。
- 床面積を増やせる
- 防音性の高い部屋をつくれる
- 耐震性が高い家になる
- 温度・湿度調整がしやすい
- 万が一のときにシェルターとして使える
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.床面積を増やせる
土地によって建てられる家の面積が変わります。
容積率を使用し、その土地にどれくらいの床面積がある家を建てられるかが決められています。事前に確認しておくことが大切です。
ただし、地下室なら以下のような条件を満たすことで、容積率を緩和させられます。
- 地階(地下室)であること
- 地階の天井までが1m以下
- 住宅として使われること
地下室の面積が建物全体の3分の1までは容積率に算入されません。延べ床面積を増やし、広い空間を実現させられます。
ちなみに、容積率は以下のような計算式で求めることが可能です。
容積率(%)=延べ床面積/敷地面積×100
延べ床面積の最高限度=敷地面積×容積率
狭小の土地で住宅を建てる場合に床面積を増やしたい方は、地下室を検討してみるのがおすすめです!
なお、間取りについては関連記事「【理想のマイホーム】間取りの考え方のコツ7選!シミュレーションやおすすめのアプリを解説」で解説しています。ぜひ参考にしてください!
2.防音性の高い部屋をつくれる
地下室は、遮音性が抜群にいいという特徴があるため、近所への音漏れを気にせず音楽鑑賞、楽器演奏、映画を楽しめます。
雑音が聞こえないので、読書部屋や書斎、仕事部屋としても使えそうですね!
ほかにも、子どもたちが思いっきり遊べる空間としても活躍します。
防音性の高い部屋については、関連記事「【大音量OK】新築に防音室を設置する費用相場を目的別に解説!5つの失敗を防ぐコツも紹介」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
3.耐震性が高い家になる
地下室があることで地震に強い家が実現できます!
建物は地表より高くなればなるほど、地震の揺れの影響を受けやすくなるといわれています。しかし、地下室は地盤に囲まれているので揺れを感じにくいのが特徴です。
さらに、鉄筋コンクリートづくりなら、家全体が耐震性に優れます。
4.温度・湿度調整がしやすい
建築基準法で、温度調整や換気のための設備をするよう義務づけられています。そのため、食料品の保管庫としても利用可能です。
食料の保管やワインセラーとして使いやすいですね!
5.万が一のときにシェルターとして使える
自然災害などで地上階にいることが危険なとき、シェルターとして利用すれば身の安全を確保できます。
災害時に小さな子どもを連れて避難所へ行くのは非常に大変です。そのため、家の中に安心して過ごせる空間をつくっておけば、もしものときに役立ちます。
地下室のある家は魅力がいっぱい!5つの活用例
ここでは、地下室の活用例を5つ紹介します。
- シアタールーム
- 楽器の練習場
- ホームジム・ゴルフ練習場
- ワインセラー
- ガレージ
理想の家づくりを叶えるために、ぜひチェックしてみてください。
1.シアタールーム
地下室は周りが土に囲まれているため、とても防音効果が高いです。映画鑑賞が好きな人は、シアタールームとして大音量で映画が楽しめます。また、音楽やスポーツのライブ映像を見れば、自宅にいながら大迫力の臨場感が味わえるでしょう。
壁や床に凹凸をつけたり反響性のある床材を選ぶと、クリアな音響で鑑賞できますよ!
プロジェクターを投影した大スクリーンやリクライニング付きのソファーがあると、映画館以上の贅沢空間が実現します。バーカウンターを設置すれば、閑静な住宅街でも気兼ねなく映画鑑賞会やパーティが楽しめるでしょう。
2.楽器の練習場
一般的な住宅の防音効果を高めても音が周りに漏れてしまうため、楽器の練習時間は限られてしまいます。しかし、地下室の高い防音効果を利用すれば、時間を気にせずに楽器練習が可能です。
ピアノやギターだけでなく、振動が響くドラム練習も地下室であれば気になりません。周りが気にならないので、高い集中力が持続するでしょう。
完全な防水・湿気対策があれば、安心して大切な楽器の保管もできますよ!
3.ホームジム・ゴルフ練習場
花粉の季節や梅雨時期は、外で思うように体を動かせません。そこで、地下室にランニングマシーンやエアロバイクを設置すればいつでも体を動かせます。
また、ゴルフネットを設置してスクリーンにコースを投影すれば、シミュレーションゴルフも可能です。天候や時間帯に左右されないため、好きな時間にゴルフが楽しめるでしょう。
ドライエリアを設置すると、地下室特有の閉塞感が解消されますよ!
ドライエリアに大きな窓を設けても、近隣からは見えません。プライバシーが守られつつ、汗などの湿気対策にも有効です。
4.ワインセラー
地下室は温度調整や換気の設備を義務づけられているため、ワインや食品を貯蔵できます。ワインを長期熟成させたい時は、地下室での管理がおすすめです。
特に高価格帯や年代物であれば、温度変化や振動を敏感に察知します。冷蔵庫タイプのワインセラーでは微振動が発生するため、長期保存には向きません。
長期熟成させるには、振動や温度変化は禁物ですよ!
また、室温にあるワインセラーは扉を開けると一気に温度が上昇します。しかし、地下室であればワインの理想的な貯蔵温度である12℃前後をキープできるのが利点です。
5.ガレージ
広い土地の確保が難しい都心部では、敷地面積を最大限まで活用したいですよね。そこで、地下を駐車場にすれば地上は広い居室スペースを確保できます。
地下に駐車場を設置すると、土地の有効活用ができますね!
高低差のある土地なら、斜面を利用してガレージから直接家の中に入れる動線も可能です。エントランスとガレージをガラス張りにすれば、愛車を眺めながら過ごせるでしょう。
また、愛車に直射日光が当たらないので、日焼けによるダメージの心配がありません。防音効果が高いため、メンテナンスしやすいのも嬉しいポイントです。
地下室のある家づくりが得意なハウスメーカー3選
こちらでは、地下室が得意なハウスメーカーを3社紹介します。
- 住友林業
- クレバリーホーム
- ミサワホーム
それぞれ見ていきましょう。
1.住友林業
引用:住友林業
項目 | 概要 |
---|---|
工法 | ビッグフレーム構法 |
対応エリア | 全国(沖縄を除く) |
特徴 | 優れた耐久性と開放感のある空間を実現 |
住友林業はミリ単位の設計で、敷地面積を最大限に活用できます。特に都市部は複雑な敷地が多く、変形敷地や狭小敷地なども柔軟に対応するハウスメーカーです。
地下室も対応しているため、日用品や食品などの地下収納として活用できます!
2.クレバリーホーム
引用:クレバリーホーム
項目 | 概要 |
---|---|
工法 | プレミアム・ハイブリッド構法 |
対応エリア | 東京・沖縄 |
特徴 | 狭小住宅など制限のある建築も可能 |
クレバリーホームは、地震に強く耐久性の高い外壁タイルが魅力のハウスメーカーです。地下室の実績も豊富で、軟弱地盤などあらゆる条件下でも対応できます。
ただし、施工対象区域が東京都に限られていることには注意が必要です!
3.ミサワホーム
引用:ミサワホーム
項目 | 概要 |
---|---|
工法 | PC工法 |
対応エリア | 全国(沖縄を除く) |
特徴 | 昭和40年代から地下室づくりを実践 |
ミサワホームは、狭小地や傾斜地などの設計が得意なハウスメーカーです。昭和40年代から地下室を手掛けてきた実績があります。
地下室をリビングに利用するなど、豊富な土地活用の提案が魅力です!
地下のある家のデメリットが心配な方はすーさんに相談しよう
地下室をつくるには、さまざまな条件をクリアしなくてはなりません。そのため、地下室づくりが得意なハウスメーカーに建築を依頼することが大切です。
とはいえ、どこのハウスメーカーがいいのか悩みます…
そのような方は、住宅のプロであるすーさんへ相談するのがおすすめです!
大手ハウスメーカーに15年間勤務していた経験を活かし、アドバイスできます。
地下のある家づくりは注意点があるため、ハウスメーカーではない第三者目線でのアドバイスがあると、より安心してマイホームを実現させられます。「すーさんの相談窓口」は無料で利用できるので、後悔のない家づくりをしたい方はお気軽にご相談ください!