「ゾーニングって自分でできるのかな?」
「部屋の配置を考える際に大切なポイントを知りたい」
「ゾーニングの具体例を見たい」
ゾーニングとは細かな間取りを決める前に、大まかに部屋の配置を決めることです。間取りを専門家に設計してもらう前にゾーニングによってイメージを作っておくと、打ち合わせをスムーズに進められます。
ゾーニングをする際には、基本的な考え方や手順を理解しておくことが必要です。
そこでこの記事では、大手ハウスメーカーに15年の勤務経験がある住宅のプロが、ゾーニングについて以下の内容を解説します。
- ゾーニングの概要と分類
- 手順
- 事例
具体例も紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
ゾーニングとは間取りの骨格のこと
ゾーニングとは、間取りを具体的に決める前に、大まかに部屋の配置を決める手法です。例えば「リビングを南側に配置して日当たりを確保したい」「寝室の近くにトイレを配置したい」など、自身のライフスタイルからイメージをまとめます。
間取りを決めるための骨格のようなものと理解しておきましょう!
なお、ゾーニングのイメージは以下のとおりです。
ゾーニングは家の内部だけでなく、外構のレイアウトにも関わります。駐車場や庭の位置をどこにするかなど、敷地内もゾーニングしておくことが大切です。
うまく活用することで、生活しやすい間取りを実現できますね!
間取りの骨格ゾーニングの4つのゾーン
家の中のゾーニングをする際には、以下の4つの空間に分けることが基本です。
ゾーン | 用途 | ポイント |
---|---|---|
パブリックゾーン | リビング、ダイニング | ・玄関の近く ・日当たりが良い ・外部からの視線が入りにくい |
プライベートゾーン | 寝室、子ども部屋、書斎 | ・静かな場所(道路に面していないなど) ・子どものプライバシーの度合い |
サービスゾーン | キッチン、浴室、洗面所、トイレ | ・家事動線 ・トイレは部屋からの距離 |
通路ゾーン | 玄関ホール、廊下、階段 | ・生活動線 ・長さ |
各ゾーンの用途やポイントについて、詳しく解説していきます。
1. パブリックゾーン
パブリックゾーンとは、家族全員や来客が利用する空間のことです。主にリビングやダイニングがこのゾーンに該当します。
家族だけでなく来客も利用する空間なので、幅広い人に快適性や安心感を与えられる必要があります。
快適性の面では、まず「日当たり」や「風通しの良さ」を意識することが大切です。家の向きにもよりますが、南側に配置することが一般的です。また、日当たりの良さを重視して2階にリビングを配置する場合もあります。
安心感という観点からは、外からの視線に配慮することが必要ですね!
リビングに面する外構に柵や植木を設置する、駐車スペースにするなどの方法で外の視線を遮れます。そのため、道路が南側だった場合には、あえてリビングを別の方角に向けることも一つの方法です。
自身や来客が快適に過ごせる位置を検討すると、自ずと適切な場所が見つかるでしょう。
なお、リビングとダイニングを一体化するか、区切るかによってもゾーニングは変わってきます。来客が多いなどの理由で落ち着けるリビングにしたい場合には、区切りを設けた方が良いでしょう。
2. プライベートゾーン
プライベートゾーンは家族それぞれがリラックスしたり、集中して作業したりするための空間です。具体的には、個室や書斎などが該当します。
パブリックゾーンとは異なり、家族一人ひとりのプライバシーや利便性を重視することがポイントです!
ただし、プライバシーに配慮するために、パブリックゾーンとの距離を離せば良いというわけではありません。なるべく家族が顔を合わせたいと考えている場合には、パブリックゾーンの近くに配置した方が良いでしょう。
例えば、リビングを通らないと子ども部屋に行けないといった動線にすることも一つの工夫ですね!
一方でプライバシーを大切にしたい場合は、パブリックゾーンとは適度に離れた位置に配置することになります。テレワークをするための書斎などは距離を離すことで、集中できる空間を作れるでしょう。
3. サービスゾーン
サービスゾーンとはキッチンや浴室など、日常生活で必須となる空間のことです。家事動線や生活動線を意識し、スムーズに移動できるように配置することがポイントです。
例えば、キッチンとランドリールームが隣同士であれば、料理をしながら洗濯をするなど家事を同時並行できます。
家事動線は日常生活の利便性を上げるために重要ですね!
ただし、浴室や洗面所はプライベートな空間でもあるので、パブリックゾーンとの位置関係に配慮しなければなりません。浴室はリビング・ダイニングから離れた、家の奥に配置することが一般的です。
また、高齢者や子どものいる家庭では、トイレの位置を寝室近くに設けると移動の負担が減ります。家族の生活をイメージして設備を配置することで、利便性の高い間取りが実現できます。
なお、サービスゾーンはなるべく1カ所にまとめることも大事なポイントです。空間を有効活用でき、他のゾーンとのバランスを取りやすくなります。
水回りを1か所にまとめると給排水の配管を共通化できるため、工事費用の節約にもつながります!
4. 通路ゾーン
通路ゾーンは、家の中を移動するための廊下や階段を含む部分です。通路ゾーンは、各部屋への移動のしやすさを基準にしましょう。
また、高齢者や子どもに配慮することも大切なポイントになります。例えば「廊下の幅を広めに取る」「階段を緩やかにする」といった配慮です。
階段をリビング内に設置することで、家族が顔を合わせる機会を多く作るといった考え方もあります!
通路ゾーンを効率的に配置すると、他の部屋の広さを確保できます。廊下を短くしてリビングを通路として利用すると、スペースの有効活用が可能です。リビング内に階段を設けるのも一つのアイデアです。
効率的な間取りを考える際には、無駄な通路スペースを減らすことが大事なのですね!
なお、具体的にどのようにゾーニングをすればいいか想像できない方は、住宅の専門家に相談するとお悩みを解決できます。大手ハウスメーカーへの勤務経験があり、現在は全国の住宅営業マンの講師を務める「すーさん」なら、理想の家づくりのサポートが可能です。
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間取りの骨格ゾーニングをする6つの手順
ここからは、実際に自身でゾーニングをするための手順を紹介します。
- 周辺環境を調べる
- 敷地内の配置を検討する
- 玄関の位置を決める
- 必要な部屋数・広さをリストアップする
- 家族のライフスタイルの特徴を列挙する
- 4つのゾーンを配置する
一つひとつ見ていきましょう。
1. 周辺環境を調べる
ゾーニングを始める前に、まず周辺環境の確認が大切です。日当たりや風の通り道は、部屋の配置に大きく影響します。具体的には「方角」や「隣家の位置」などを確認しておきましょう。
また、道路の近さも重要な要素です。交通量が多い場所では、騒音や安全性を考慮して、寝室を道路から離れた静かな場所に配置するなどの工夫が求められます。
時間帯や季節を変えて複数回現地を訪れて、さまざまな状況を確認しておくと良いでしょう!
2. 敷地内の配置を検討する
敷地内の配置は、駐車場や庭などのスペースをどこにするかを考えるステップです。具体的には、以下の4つのゾーンを決める必要があります。
- 建物ゾーン
- 庭ゾーン
- アプローチゾーン
- 駐車・駐輪ゾーン
考える手順は、車の駐車場を最初に決めるとスムーズに進みます。駐車場は広いスペースが必要なので、最初に検討しておくと後々の間取り設計がしやすくなるためです。
駐輪場も意外と場所を取るので忘れずに検討しておきましょう!
敷地内のゾーニングのポイントは、庭と住宅の配置です。家の位置を北側に設けると、暑さを避けつつ庭の植物が生長しやすい環境を作れます。庭の使い方なども含めて検討しましょう。
アプローチ部分も含め、敷地全体を見渡して、機能的かつ美しい配置を考えることが理想的です!
3. 玄関の位置を決める
玄関は家の他のゾーンを決める基準になるため、初めに決めておきます。
一般的には玄関の近くには、家族みんなが使うリビングを配置します。ただし、玄関から家の中が丸見えにならないような工夫が必要です。プライバシーを守りつつも、開放感のある玄関を設けることが理想的です。
まずは玄関の場所をしっかりと検討してから、他の部屋のレイアウトを進めましょう!
4. 必要な部屋数・広さをリストアップする
家族構成や生活スタイルによって、必要な部屋の数や広さは異なります。まずは生活に必要な部屋数をリストアップし、各部屋の広さもおおよそ決めておきましょう。
それぞれの部屋の広さの目安は以下のとおりです。
- リビングダイニング:12~16畳
- キッチン:4~6畳
- 浴室:2畳~
- 洗面所:2畳~
- トイレ:1畳~
- 玄関:4畳~
各ゾーンのバランスを意識することも大切です!
パブリック・プライベート・サービスゾーンの比率を「1:1:1」にすることで、家全体が機能的にまとまり、快適な住環境を作れます。
5. 家族のライフスタイルの特徴を列挙する
家族それぞれのライフスタイルに合わせた間取りを作るためには、行動パターンを詳しく書き出すことが大切です。
例えば、朝の忙しい時間帯にキッチンや洗面所が近いと移動がスムーズですし、子どもがリビングで勉強する場合はリビングの配置を中心に考えると良いでしょう。
テレワークを行う家族がいる場合、書斎やワークスペースも必要になりますよね!
さらに夜の行動パターンにも注目しましょう。家族の就寝時間が大きく異なる場合には、寝室をリビングや浴室から離れた静かな場所に配置することが必要になります。
家族それぞれの行動に合ったゾーニングを行うことで、快適な住まいが実現しますね!
生活動線を意識した間取りについては、関連記事の「【超快適】生活動線を意識した間取りでノンストレスな生活を!必要なポイントも紹介」で詳しく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
6. 4つのゾーンを配置する
最後に、ここまで整理してきた情報に基づいて4つのゾーンを配置します。家族の多くが集まるパブリックゾーンを中心に考えると、自然と他のゾーンの配置が決めやすくなります。
また、上下階のつながりも重要な要素です。
階段の位置や吹き抜けにするかなどで、ゾーニングや動線が大きく変わりますね!
間取りについては、関連記事の「【経験者から学ぶ】間取りで後悔しがちなポイント15選!失敗する理由や成功させるためのコツを紹介」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
間取りの骨格ゾーニングの例
最後にゾーニングの具体例を2つ紹介します!
- 平屋のゾーニング例
- 二階建てゾーニング例
一つひとつ見ていきましょう。
1. 平屋のゾーニング例
こちらは東側が道路に面している平屋のゾーニングの例です。
リビングダイニングやテラスは、日当たりの良い南側に置きました。家事動線を考えて浴室・トイレ・洗面所の水回りとキッチンは隣り合わせの配置です。
和室はリビングの延長として、子どもが遊ぶ場所や来客用の寝室になります。
このように大まかにゾーニングするだけでも家のイメージを具体化できますね!
2. 二階建てゾーニング例
こちらのゾーニング例は、2階建ての家です。この事例は南側が道路に面しています。
1階のリビングダイニングは日当たりを重視して、南側に配置しています。2階の子ども部屋と主寝室の間には、利便性を考慮してトイレを置きました。
家族の要望などを聞きながらゾーニングしていくと、必要な部屋や動線が見えてきますね!
間取りをゾーニングすることで理想のイメージを明確にできる
ゾーニングは設計の専門知識がなくても、自身のライフスタイルに合った間取りのイメージを作れる方法です。
ゾーニングをしっかり行うことで、外せないポイントやこだわりを明確にし、設計士に伝えやすくなります。「家事動線をスムーズにしたい」「家族が集まるリビングを広く取りたい」などの要望を、具体的に反映させられるでしょう。
なお、上手くゾーニングできない場合には、プロに相談するのも一つの方法です。「すーさんの相談窓口」では、自身のイメージを形にするためのアドバイスができます。
ゾーニングは理想の住まいを実現するための重要なステップです!お困りの方はお気軽にご相談ください。