「新築では周りを気にせずに楽器を演奏したい」
「防音室を実現するにはいくらかかるの?」
「失敗するのは避けたい」
新築に防音室を入れたいと思っているものの、希望をどこまで叶えられるのかわからず、二の足を踏んでいる方がいるのではないでしょうか。
通常より費用がかかるのではと思い、予算内に収まるか不安に感じますよね…。
そこでこの記事では、大手ハウスメーカーで15年間勤務し、現在は家づくりをサポートしている筆者が、以下の内容を解説します。
- 新築に防音室を設置するポイント
- 費用相場
- メリット・デメリット
- 失敗しないためのコツ
新築に防音室を設置するときのチェックポイントが網羅でき、安心して間取りへ組み込めるようになります。ぜひ最後までお読みください!
新築に防音室を設置する前に押さえておきたい3つのポイント
新築に防音室を設置する前に押さえておきたいポイントは以下の3つです。
- 使う目的をはっきりさせる
- 遮音等級がどこまで必要かを検討する
- 防音室の種類を把握する
事前にチェックしておくだけで、防音室を設置するイメージが明確になります。
1. 使う目的をはっきりさせる
部屋の広さや防音のレベルなどを決めるためにも、新築に防音室を入れる目的をはっきりさせておくことが大切です。
防音室は、使う目的に応じてカスタマイズすることで、初めて有効活用できます。目的は、主に以下のようなものが考えられます。
- 楽器の演奏
- テレワーク
- ネット配信
- ホームシアター など
また、演奏したい楽器によっても、適した防音室の形状は変わります。身体を動かしながら演奏するような楽器の場合、ある程度の広さや天井高が必要なケースがあるでしょう。
せっかく新築に防音室をつくるなら、目的に沿ったものをつくらなければ後悔してしまいます!
2. 遮音等級がどこまで必要かを検討する
遮音等級とは、室内の音が外へどこまで伝わりにくいかをあらわす指標です!
遮音等級まで検討すると、ご自身が求めているレベルの部屋をつくれます。
遮音等級 | 楽器の外部への伝わりにくさ |
---|---|
D-65 | 聴こえない |
D-60 | ほとんど聴こえない |
D-55 | わずかに聴こえる |
D-50 | 多少聴こえる |
D-45 | かなり聴こえる |
楽器を演奏するのであれば、D-60以上が求められるケースが多いでしょう。一方で、テレワークが中心であれば、D-50程度でも問題ない場合があります。
目的にあっていない遮音等級で防音室をつくると、隣家へ音が漏れトラブルにつながります。
新築で防音室をつくるときには、遮音等級まで意識してみてください。
3. 防音室の種類を把握する
新築でつくれる防音室は、以下の2種類です。
種類 | 特徴 |
---|---|
ユニットタイプ | ・室内に箱型の防音室を設置する ・安価で設置できる |
工事タイプ | ・室内全体を防音室にする ・広さや遮音性能を広くにカスタマイズできる |
新築で防音室を検討する場合は、工事タイプを選ぶケースがほとんどです。ただし、Web会議でのコンパクトな使用のみで問題ない場合は、予算とあわせてユニットタイプの検討もするといいかもしれません。
【目的別】新築の防音室の費用相場4選
ここでは、防音室の費用相場を以下の4タイプ別に解説します。
- ピアノ防音室
- ドラム防音室
- 管楽器防音室
- オーディオ・シアタールーム
新築のタイミングで設置すれば、後から付けるよりもトータルコストが下がります。ぜひチェックしておきましょう。
1.ピアノ防音室
ピアノ教室を開く場合、6帖タイプの費用は約260万円です。日中に教えるのであれば120万円ほどで防音室が設置できるでしょう。費用の目安は、以下の表の通りです。
用途 | 防音性能 | 費用 |
---|---|---|
日中の演奏 | ・室内 D30 ・室外 D45 | 120万円~ |
ピアノ音楽教室 | ・室内 D45 ・室外 D60 | 260万円~ |
・ピアノや金管・木管楽器の演奏 ・声楽の練習 | ・室内 D50 ・室外 D65 | 280万円~ |
ピアノを弾く防音室を施工する場合は、自宅の構造やピアノの種類などに適した部屋を実現できるよう、要望を詳しく業者に伝えることが大切です。たとえば、グランドピアノやアップライトピアノなど、ピアノのサイズによって適切な空間の広さや天井の高さなどが変わるからです。
防音や室内音響の性能をどこまで求めるかによって費用も変わります!
演奏する時間帯や近隣までの距離に合わせて、防音性能を検討してみてください。
2.ドラム防音室
ドラムは、衝撃音を楽しむ楽器です!
ドラム演奏に対応した防音室を施工する場合は、楽器演奏時の振動も抑えなければいけません。そのため、防振対策が必要になり費用が高額になりやすいです。
広さに応じた費用の目安は、以下の表を参考にしてみてください。
広さ | 費用 |
---|---|
6帖 | 350万円 |
8帖 | 380万円 |
10帖 | 420万円 |
防振対策が不十分だと建物全体に振動が伝播し、十分な防音性能が発揮できません。また、余計な響きが反響して、遅れた反響音で音楽が楽しめないでしょう。
3.管楽器防音室
管楽器の音の大きさは、ドラムに匹敵する音量です。なかでも、サックスは最大音量が110dBと至近距離でクラクションを鳴らされるほどの衝撃音があります。
以下の表に広さ別の費用相場をまとめているので、参考にしてみてください。
広さ | 費用 |
---|---|
6帖 | 250万円 |
8帖 | 260万円 |
10帖 | 280万円 |
管楽器に対応した防音室は、250万円が施工費用の目安ですよ!
なお、衝撃音を防ぐために管楽器の防音室では壁や天井・床に遮音性の高い素材を使用するのがポイントです。また、音質のよさにこだわるなら残響時間の調整をすることをおすすめします。
残響時間が短いほど音がクリアではっきりと聞こえるため、個々の音符が明瞭に聞こえる0.5~0.8秒に調整しましょう。
4.オーディオ・シアタールーム
リビングをオーディオやシアタールームにする場合は、その他の空間と同じデザインにすると理想の空間が実現するでしょう。
以下の表を参考に、設置費用を240万円程度に想定しつつハウスメーカーと相談しておくとスムーズです。
広さ | 費用 |
---|---|
6帖 | 210万円 |
8帖 | 220万円 |
10帖 | 240万円 |
ただし、隣家との距離がある場合は高い防音性能が不要です。
壁や床に使う素材を強くして、反響を高めてみると臨場感が味わえるでしょう。
なお、専用のオーディオやシアタールームであれば臨場感やクリアな音質が求められます。より防音性能を高め、壁や床に凹凸をつけたり反響性のある床材を選んだりする必要があります。
防音室をふくめた間取りの検討をしているけれど、なかなか考えがまとまらず悩む場合は、プロに相談をしてアドバイスをもらう手が有効です。
性能と予算のバランスをハウスメーカーと相談しながら、納得のいく防音室をつくりましょう!
「すーさんの相談窓口」では丁寧なヒアリングをもとにして、あなたにぴったりの住宅会社の紹介もしています。家づくりをなにからスタートすればいいかわからないとお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください!
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新築に防音室を設置する3つのメリット
新築に防音室を設置するメリットは以下の3つです。
- 住宅ローンにふくめられる
- 理想の防音室がつくれる
- 防音室を中心とした間取りをつくれる
順番に見ていきましょう。
1. 住宅ローンにふくめられる
住宅ローンに防音室をつくる料金をふくめてしまえば、一度に大きな金額を払う必要はありません。
防音室をつくるのには250万円程度かかる場合もあるので、一括で支払うのは大変ですよね。
新築のタイミングは、予算が理由であきらめかけた防音室を住宅ローンに組み込めるチャンスです。最長で35年契約ができるため、長期的な目線で防音室をつくる計画を立てられます。
最適な住宅ローンの選び方については、関連記事「【後悔しない】初心者に最適な住宅ローンの選び方5ステップ!失敗を防ぐポイントも紹介」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
2. 理想の防音室がつくれる
防音室をリフォームでつくる場合、すべての理想を組み込むことは難しいかもしれません。
一方で、新築の時点で防音室を設置すれば、部屋の広さや防音性能など、予算の許すかぎり希望に添った設計が可能です。
たとえば、天井高もカスタマイズできるため、大きな楽器でも気にすることなく演奏できます。
防音室で叶えたい夢がある人こそ、新築のタイミングでの検討をおすすめします。
3. 防音室を中心とした間取りをつくれる
防音室の設置を前提とした間取りをつくれるのは、新築ならではの強みです。
たとえば、リビングと防音室を隣接させれば、家族で気軽に使えるような間取りもつくれます!
新築以外で防音室をつくると、既存の間取りを軸にして設計するしか選択肢がありません。防音室を中心にして家づくりをしたいのであれば、新築のタイミングが適しています。
自身の理想の間取りがわからず悩んでいるのであれば、無料で多くの提案がもらえるタウンライフがおすすめです。防音室をふくめた家づくりのイメージを伝えるだけで、プロ目線の間取りアイデアの知識を吸収できます。
タウンライフの詳細は、関連記事「【希望が叶う】理想の家を実現する間取りの決め方を徹底解説!無料でプロに依頼する方法を紹介」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
新築に防音室を設置する2つのデメリット
新築に防音室を設置するデメリットは以下の2つです。
- 初期費用が発生する
- 部屋に熱がこもりやすくなる
後悔しない防音室をつくるためにも、間取りに組み込む前の確認が必要です。
1. 初期費用が発生する
防音室は、一般的な間取りの住宅に比べて、初期費用がかかります。防音性能を高めるために、特別な資材を発注し工事をする必要があるためです。
たとえば、ドラム演奏を気兼ねなくする目的で防音室をつくると、防音性能を上げるため250万円以上かかることも珍しくありません。
予算によっては坪数を減らすなど、家自体の金額を下げる必要が出てくるかもしれませんね…。
とはいえ、新築をつくる時点で防音室を導入すれば、初期費用を住宅ローンにふくめられます。予算計画が立てやすくなるため、防音室をつくる夢を叶えやすくなるでしょう。
2. 部屋に熱がこもりやすくなる
防音室は、外部に音が漏れるのを防ぐため、部屋内の気密性を高める必要があります。
気密性とは、室内の隙間がどれだけあるかの指標で、高いほど空気が外に出ていきません。
そのため、換気性能が悪くなるため、室内に熱や湿気がこもります。とくに夏場は暑くなり、防音室で過ごすのがつらいと感じてしまうかもしれません。
部屋に熱がこもりやすくなるのを避けるためには、専用の換気扇を設置し、空気を循環する仕組みをつくることが大切です。
また、長時間にわたり防音室を使う予定がある場合、エアコンの設置を前提にするといいでしょう。
新築の防音室で失敗しないための5つのコツ
新築の防音室で失敗しないためのコツは以下の5つです。
- 多目的で使えるようにする
- 防音室の施工が得意な会社に依頼する
- 有線LANを引いておく
- 窓の性能を上げる
- ドアの素材選びにこだわる
ひとつずつ解説していきます。
1. 多目的で使えるようにする
防音室をひとつの目的のためだけにつくると、ライフスタイルの変化がきっかけで、使わなくなる可能性があります。
楽器演奏をしなくなると同時に、防音室の使用をやめてしまうことも考えられますよね。
防音室を使い続けるためにも、多目的で使えるようにしておくことをおすすめします。たとえば、楽器演奏だけでなく、ホームシアターとして使える間取りにしておくだけで、長く使える部屋をつくれるでしょう。
2. 防音室の施工が得意な会社に依頼する
新築で防音室の導入が確定している場合は、依頼する住宅会社をしぼることが大切です。防音室は、一般の部屋と違い、防音性能を満たすためのノウハウが欠かせません。
とくに、高い防音性能を求めるのであれば、施工実績が豊富な住宅会社を選ぶべきでしょう。
事前に具体的な防音室への希望を伝え、対応ができる住宅会社と家づくりを始めてみてください!
3. 有線LANを引いておく
防音室は、外部へと音が漏れるのを防ぐ目的で、使う資材を重くする傾向があります。そのため、室内の電波が弱くなることには注意が必要です。
電波が弱いと、テレワークやホームシアターとして使いたいときに快適に利用できません。有線LANをあらかじめ引いておくと、電波に関係なく光回線を使えます。
有線LANは、新築時であれば壁のなかに配線を埋め込めるため、見栄えを損ないません!
現状は有線LANが必要なくても将来的に使う可能性を考慮し、設置しておくことをおすすめします。
4. 窓の性能を上げる
部屋全体だけでなく窓にまで気を遣うと、後悔しない防音室をつくれます!
失敗しない防音室をつくるためには、窓の性能を上げることが大切です。たとえば、一般的にリビングへ設置をしている引き違い窓は、防音性能が高くありません。
縦すべりや横すべりの窓のほうが、防音室への設置に適していますよ!
5.ドアの素材選びにこだわる
防音室のドアは壁や天井より薄いため、音漏れしやすいです。そのため、防音の目的によって使用する素材を選ぶ必要があります。素材の違いによる遮音等級の範囲は、以下の通りです。
素材 | 遮音等級 |
---|---|
木製 | D30~35 |
スチール製 | D35~40 |
鋼製 | D50~55 |
木製のドアは、デザイン性が高く室内の音を外に漏らしません。外の騒音を遮断し安価で設置できるので、日中のピアノ演奏や音楽鑑賞では、木製の防音ドアでも十分に対応が可能です。
木製ドアを二重に設置する方法も効果が高いので、担当者に相談してみてください!
なお、スチール製のドアは高い遮音性能があり、楽器演奏などに効果を発揮します。加工が安易で劣化しづらいため、高い防音効果を求める方におすすめです。
住宅密集地や夜間にドラムや演奏会を実施する場合は、鋼製の防音ドアを設置すれば外への音漏れが気になりません。しかし、ドア内部に充填剤や特殊な遮音制振パネルが入っていると開け閉めが大変でしょう。
新築の防音室は使用イメージを明確にしておくことが大切
新築の時点で間取りへ組み込んでおけば、理想の防音室をつくれるでしょう。
リフォームでは自由性に限界があるので、防音室をつくるベストなタイミングは新築だといえますね!
理想を叶えるためには、使用イメージを明確にしておくことが大切です。希望をはっきりさせておくことで、用途にあわせて広さや防音性などを適切に選択できます。失敗のない家づくりをするためにも、新築の時点での防音室導入を検討してみてください。
防音室が新築に組み込めるのか不安な場合には、プロに相談してアドバイスをもらってはいかがでしょうか。
私は、大手住宅会社で15年の勤務経験がある家づくりのプロです。どのような小さな悩みでも、丁寧にアドバイスします!
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