「耐震等級3が必要なのか判断したい!」
「どのような人が耐震等級3を取得している?」
「予算は増やしたほうがいい?」
地震対策はしたいと思っているものの、本当に耐震等級3にすべきかの判断がつかない方は多いでしょう。
予算が増えてしまうことで「耐震等級3はやめておけばよかった」と後悔したくはないですよね…。
この記事では、大手ハウスメーカーで15年間勤務し、現在は家づくりをサポートしている筆者が、以下の内容を解説します。
- 耐震等級の概要
- 後悔する理由とメリット
- 対策ポイント
耐震等級3が必要なのかが判断できるようになり、後悔を防げるようになります。ぜひ最後までお読みください!
耐震等級とは?
耐震等級とは、地震に対する住宅の強さをあらわした全国共通の指標です!ここでは、以下の項目をチェックしていきましょう。
- 耐震等級1〜3の違い
- 耐震基準との違い
- 耐震等級3の認定を受ける要素
- 耐震等級3の取得方法
自身の家に耐震等級3が必要かを判断できるよう、ひとつずつ詳しく解説します。
1. 耐震等級1〜3の違い
耐震等級は1~3まであり、数字が大きくなるにつれて強度が増します。以下の表にそれぞれの特徴をまとめました。
耐震等級 | 内容 |
---|---|
耐震等級1 | ・すべての建物に求められる最低基準 ・一般的な大地震と呼ばれる災害でも建物が倒壊または崩壊しない |
耐震等級2 | ・耐震等級1の1.25倍の耐震性 ・学校や病院などに求められる性能 |
耐震等級3 | ・耐震等級1の1.5倍の耐震性 ・警察署や消防署で採用されている最高ランクの性能 |
2000年に改定された建築基準法をもとにして建てられた住宅は、すべて耐震等級1をクリアしています。
マイホームにおいては、どの耐震等級にするのかをハウスメーカーと相談できる場合が多いですよ!
2. 耐震基準との違い
耐震基準とは、住宅を建てるうえで必須とされている基準のことです。
耐震基準を満たさなければ、住宅は建てられません!
一方で耐震等級は、地震に対する強さをあらわす指標のことであり、認定を受けずとも建築は可能です。ただし、耐震等級を基準にすれば、地震への対策をどこまで強化するかを決める際に役立つでしょう。
3. 耐震等級3の認定を受ける要素
耐震等級3の住宅には、以下のような耐震性を引き上げる要素が組み込まれています。
- 建物の軽さ
- 耐力壁※の多さ
- 耐力壁・耐震補強金物の配置バランス
- 床の強度
※地震のような横からの力に耐えるための壁
実際には、ハウスメーカーが要素を意識して調整してくれます。そのため、私たちが細かく考える必要はありません!
4. 耐震等級3の取得方法
耐震等級3を取得するには、以下の4つの手順を踏む必要があります。
- 取得したい旨を施工業者に伝える
- 施工業者が「指定住宅性能評価機関」に申請書や設計図書などを提出する
- 「指定住宅性能評価機関」が住宅性能を評価する
- 住宅性能評価結果を記した「住宅性能評価書」を交付してもらう
とはいえ、施主自身が作成や提出する書類はありません。施工業者に耐震等級3を取得したい旨を伝えれば、後の手続きはお任せできます。
自分でやることは「施工業者に取得したい旨を伝えることだけ」ですね!
耐震等級3は意味がない?後悔する4つの理由
耐震等級3にして後悔するケースには、以下の4つの理由が考えられます。
- 理想の間取りにできない可能性がある
- マイホーム完成までの期間が長くなる
- 建築費用が高くなる
- 耐震等級3以下でも問題ない場合がある
建築が始まってからでは変えられないものもあるため、しっかり理解しておきましょう。
1. 理想の間取りにできない可能性がある
耐震等級3の認定を受けるためには、壁や柱の数、配置のバランスを考慮することが大切です。そのため、間取りが制限される可能性があります。
広々とした空間を作りたいと思っても、壁や柱の状況によっては対応できない可能性も…。
とはいえ、耐震等級3でも住みやすい住宅の建築は可能です。こだわりがある場合には、理想の間取りで基準を満たせるのか、ハウスメーカーに事前相談しておきましょう。
間取りの考え方のコツについては、関連記事「【理想のマイホーム】間取りの考え方のコツ7選!シミュレーションやおすすめのアプリを解説」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
2. マイホーム完成までの期間が長くなる
耐震等級3にすると、マイホーム完成までの期間が1〜2ヶ月程度長くなるケースがあります!
耐震等級3にするためには、設計段階から通常より時間をかけなければなりません。また、認定のため第三者機関を呼び、検査を受ける必要も出てきます。
さらに、耐震用金物の設置工程もプラスされるため、マイホーム引き渡しまでの時間が長くなるでしょう。現在の家に住める期間が限定されている場合は、施工期間が延長される可能性がないかを確認しておくと安心です。
3. 建築費用が高くなる
耐震等級3にすると、主に以下のような項目がプラスされます。
- 耐震等級を上げるための材料費
- 工数増加にともなう人件費
- 第三者機関による調査費
- 構造計算費
構造計算とは、建物が地震に耐えられる構造かを調べることで、耐震等級3の住宅を建てるために必要な工程のひとつです。耐震等級3を希望する場合は、どの程度費用がアップするかを確認しておくと、予算オーバーを防げます。
予算のことも同時に考えると、耐震等級3が必要なのかを判断しやすいですよ!
4. 耐震等級3以下でも問題ない場合がある
耐震等級1の場合でも、地震被害を受けずに済む可能性があります。国が定めている耐震基準をクリアしており、一般的な大地震と呼ばれるものに耐えられる計算の構造をしているためです。
なお、2016年4月に発生した最大震度7の熊本地震では、耐震等級1の住宅301棟のうち、倒壊したのは7棟でした。
無被害は181棟、破損した住宅は113棟とのデータが出ており、耐震等級1でも問題のない家が多かったことがわかります。
一方で、耐震等級3の住宅は16棟中1棟も倒壊せず、無被害が14棟という結果が出ています。地震に対してどの程度まで対策したいかを考えて、耐震等級3にするかを決定するといいでしょう。
参照:国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」
なお、耐震等級3にするべきか決められない方は、無料の相談窓口を活用すると悩みを解決できるかもしれません。
私は大手ハウスメーカーで15年の勤務経験のある家づくりのプロです!住宅に関する悩みなら、どんなことでも相談を受け付けています。
すーさんの相談窓口では、家づくりをどこから始めればいいかわからない状態でも、すべて無料で相談可能です。地震に強い理想の家を建てたい方は、ぜひ一度ご相談ください!
\ ノープランでOK /
後悔だけじゃない!耐震等級3にする4つのメリット
耐震等級3には以下4つのメリットがあります。
- 大型地震への不安を減らせる
- 地震保険の割引を受けられる
- 住宅ローン金利優遇を受けられる
- 売却時に高く売れる可能性がある
自身に当てはまるものかを確認するためにも、ひとつずつ確認していきましょう。
1. 大型地震への不安を減らせる
日本では、現在以下3つの大型地震が30年以内に発生すると予測されています。
地震の種類(予想マグニチュード) | 予想マグニチュード(M) | 30年以内の発生確率 |
---|---|---|
南海トラフ地震 | M8〜9 | 70〜80% |
首都直下地震 | M7 | 70%程度 |
日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震 | M8.8以上 | 7〜40% |
2024年8月には「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことは記憶に新しいですね!
「南海トラフ地震臨時情報」は巨大地震発生の可能性が相対的に高まっているとの警戒情報のことです。今は誰もが巨大地震によって被災する可能性がある時代と言えます。
大地震が予測されている地域に家を建てるのであれば、耐震等級を上げるのはひとつの対策になりますね!
2. 地震保険の割引を受けられる
地震保険とは、以下の3つの原因から火災や損壊などが起きた場合に補償される保険です。
- 地震
- 噴火
- 津波
どれも火災保険では補償されない項目ばかりですね!
耐震等級3の認定を受けている住宅の場合、地震保険の料金が50%割引されます。耐震等級1だと、10%しか割引されません。
耐震等級3であれば、地震の被害を受けるリスクが低くなる分、割引を受けられると考えられますね!
地震保険のコストを抑えたい場合は、耐震等級による割引率も視野に入れた検討がおすすめです。
3. 住宅ローン金利優遇を受けられる
住宅ローン金利は、耐震等級3の加入を条件として、引き下げの優遇を受けられるケースがあります。
以下の表を見ると、金利1%の違いで月々の返済額が2万円程度も違っていることがわかります!
借り入れ条件 | 月々の返済額 |
---|---|
・借り入れ金額:4,000万円 ・自己資金:0万円 ・返済期間:35年 ・金利:1.8% | 12万8,436円 |
・借り入れ金額:4,000万円 ・自己資金:0万円 ・返済期間:35年 ・金利:0.8% | 10万9,224円 |
予算の問題で耐震等級3にできない場合でも、金利優遇を受ければ問題を解決できるかもしれません。
少しでも金利の低い金融機関を探している場合、まずはモゲチェックの利用から始めてみましょう!
希望条件を打ち込むだけで、あなたに最適な住宅ローンを提案してくれます。
モゲチェックの詳細は、関連記事「【金利0.1%の差が命取り】住宅ローンの負担を下げるにはモゲチェックがおすすめ!使い方をわかりやすく解説」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
4. 売却時に高く売れる可能性がある
耐震等級3を取得していれば、最高ランクの耐震認定を受けた住宅として扱われます。そのため、売却時に高い金額で売れる可能性があるでしょう。
耐震等級3を取得していれば、資産価値が上がるのです!
耐震等級3であることを条件に、住宅を探している人もいるかもしれません。ほかの住宅との差別化となり、早めに売れる可能性も考えられます。
耐震等級3の取得で後悔しないための4つのポイント
耐震等級3で後悔しないためには、以下4つのポイントがあります。
- 耐震等級3取得のメリットと予算のバランスを考える
- 着工後の間取りの変更はできないことを理解しておく
- 耐震等級3「相当」でないかを確認する
- 耐震性能の計算方法を確認する
事前に知っておかないと後悔する可能性があるため、ひとつずつ確認が必要です。
1. 耐震等級3取得のメリットと予算のバランスを考える
耐震等級3を取得すべきかは、予算とのバランスを慎重に考えることが必要です。
ここまで説明してきたように材料や人件費など、耐震等級3の取得には多額の費用がかかります。
最低限の耐震基準である「耐震等級1」であっても「一般的な大地震と呼ばれる災害でも建物が倒壊や崩壊をしない」程度の強さはあります。
耐震等級3を取得するための費用と必要性について、家族できちんと話し合っておくことが大切です。
2. 着工後の間取りの変更はできないことを理解しておく
耐震等級3の取得申請は、着工前に行います。そのため、着工後に間取りを変更することはできません。
耐震等級3の家は「指定住宅性能評価機関」からの評価を受けた上で着工します。
着工後に間取り変更するケースはあまり多くはないですが、評価を受けたあとに着工するということは頭に入れておきましょう。
3. 耐震等級3「相当」でないかを確認する
耐震等級3相当とは、耐震等級3と同等の性能を持っているにもかかわらず、第三者機関からの認定を受けていない建物のことです。ハウスメーカーが独自の計算のうえ耐震等級3だとしているため「相当」に留まっています。
耐震等級3相当の場合、地震保険の割引や住宅ローン金利の優遇など、耐震等級3にしたときのメリットを得られません…。
ハウスメーカーによっては、耐震等級3相当にしか対応していないケースがあります。耐震等級3を取得したい場合は「相当」での対応でないかの確認が必要です。
なお、地震に強いハウスメーカーの探し方については、関連記事「【暮らしを守る】地震に強いハウスメーカー10選!選び方や耐震性の高い家の特徴を紹介」で解説しています。ぜひ参考にしてみてください!
4. 耐震性能の計算方法を確認する
耐震等級3を証明する計算方法には「性能表示計算」と「許容応力度計算」があります。
同じ耐震等級3でも、基準の厳しい「許容応力度計算」をクリアした住宅のほうが、より地震に強いと考えられますね!
どちらの計算方法で耐震等級3の認定をしているかは、ハウスメーカーにより異なります。地震に強い家への優先度が高い場合は、契約前に「許容応力度計算」をしているかを確認することを推奨します。
マイホームに後悔なし!耐震等級3の家が建てられるおすすめのハウスメーカー5選
こちらでは具体的に、耐震等級3の家を建てられるハウスメーカーを5つ紹介します。
- ミサワホーム
- セキスイハイム
- 一条工務店
- ダイワハウス
- 三井ホーム
それぞれのメーカーの技術や耐震実験の内容も紹介しているので、参考にしてみてください。
1. ミサワホーム
項目 | 内容 |
---|---|
住宅のタイプ | 木造 |
構造・工法 | モノコック構造 |
耐震実験 | 阪神・淡路大震災以上の揺れに対して損傷なし |
保証期間・メンテナンス | 35年保証 |
ミサワホームでは「地震による損傷ゼロの住まい」を目標に、耐震・制震・免震性の高い家を開発してきました。強固な耐力壁の面を接合する「モノコック構造」を採用し、建物全体に力を分散仕組みを採用しているのが、ミサワホームの家の特徴です。
さらに、地震エネルギーを最大約50%軽減する独自の制振装置「MGEO」を使い、揺れを抑えることで家の損傷を減らす仕組みとなっています。
耐震と制震の機能によって阪神大震災以上の揺れにも耐えられる家を実現しています。
2. セキスイハイム
項目 | 内容 |
---|---|
住宅のタイプ | 木造・鉄骨造 |
構造・工法 | ボックスラーメン構造 |
耐震実験 | ・2階建ては100回以上の実証実験を実施 ・3階建ては東海地震の予測波レベルでの実験をして大きな損傷や倒壊なし |
保証期間・メンテナンス | 60年保証 |
セキスイハイムは鉄骨造の家を得意としており、柱と梁をボルトで接合する「ボックスラーメン構造」は巨大地震にも耐えうる強靭さを誇っています。
さらに独自技術「GAIASS」は、耐力壁を超える地震エネルギー吸収性能のある耐震システムです。
また、過去の大地震の振動周期を再現し、250回もの加震実験を行い耐久性の確認を行っています。複数回の地震に耐えられるので、安心して長く住み続けられるでしょう。
3. 一条工務店
項目 | 内容 |
---|---|
住宅のタイプ | 木造 |
構造・工法 | ツインモノコック構造 |
耐震実験 | ・建物を倒壊する揺れ方などを中心に、さまざまな地震の揺れを実験 ・東日本大震災後、2年間で253回もの加震を行う |
保証期間・メンテナンス | 30年保証(20年目に有料メンテナンス工事を行った場合10年延長) |
一条工務店の建てる家は、全棟が耐震等級3の性能を備えています。
さらに一部の家では「2倍耐震」として、耐震等級3以上の性能があります!
一条工務店の家の耐震性が高い理由は、地震の力を面で受け止める「ツインモノコック構造」を採用しているためです。「ツインモノコック構造」とは、壁・床・天井を強力に結び付けた箱型構造のことです。
さらに、建築基準法の認定以上の強さをもった「耐力壁」や水平方向に強さを発揮する「剛床」を採用し、接合には一般的なものと比べて最大1.5倍の大きさの釘を用いています。
4. ダイワハウス
項目 | 内容 |
---|---|
住宅のタイプ | 木造・鉄骨造 |
構造・工法 | 鉄骨軸組構造 |
耐震実験 | 「xevoΣ」は震度7レベルの実験を繰り返すも大きな損傷なし |
保証期間・メンテナンス | 30年保証(有料メンテナンス工事で60年まで延長) |
ダイワハウスの鉄骨造の家「xevoΣ」は、独自のエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST」を標準搭載しています。「D-NΣQST」は、地震の揺れを受けるとしなやかに動く独自の断面形状により、地震エネルギーを効果的に吸収する仕組みとなっています。
その強靭さから「天井高2.72m」「開口幅最大7.1m」の大空間の間取りを作ることも可能です!
「xevoΣ」の耐久性は、阪神淡路大震災以上の地震波でも耐えられることが実証済みです。
5. 三井ホーム
項目 | 内容 |
---|---|
住宅のタイプ | 木造 |
構造・工法 | プレミアムモノコック構法 |
耐震実験 | 連続60回の震度7の耐震実験を耐えた地震に強い家 |
保証期間・メンテナンス | 10年保証(有料メンテナンス工事で10年延長) |
三井ホームでは、地震の力をバランス良く分散・吸収する「モノコック構造」を採用しています。さらに、超剛性ベタ基礎「マットスラブ」、木を一体化させる接合プレート「ネイルプレート」など独自の耐震技術がふんだんに使われています。
耐震実験では震度7の揺れを連続60回耐えきっているのがポイントです!
耐震等級3で後悔しないためには予算とリスクのバランスが大切
最高ランクである耐震等級3の住宅であれば、大地震への不安を減らしながら快適に過ごせるでしょう。一方で、予算が上がることを理解しておかなければなりません。
後悔しないためにも、予算とリスクのバランスを考えることが大切です!
自身の理想とするマイホームのなかで、耐震等級3がどこまで大切かを検討し、後悔のない家づくりをしてみてください。
とはいえ、耐震等級3にすると予算や間取りはどのように変わっていくのか、具体的なイメージをするのは難しいかもしれません。その場合、住宅のプロへ相談をしてみてはいかがでしょうか。
「すーさんの相談窓口」では、住宅営業員に対して講師をしている私が、家づくりのアドバイスをしています!
耐震等級3についての詳しい説明から、地震に強いハウスメーカーの紹介まで、幅広く相談を受け付けています。耐震等級3にしたほうがいいのか悩む場合は、お気軽にご相談ください!