「注文住宅の相場ってどれくらい?」
「費用の内訳を知りたい!」
「相場を超えないために工夫できるポイントは?」
家を建てるのにお金がかかるのはわかっているけれど、どれくらいの予算を組んでおけば良いのでしょうか?
立地や間取りにこだわるほど、多くの予算が必要となる注文住宅。数十年かけてローンを支払うことを考えると、相場を意識した予算を組んでおきたいところです。
この記事では、大手ハウスメーカーで15年間営業を務めた筆者が、以下の内容を解説します。
- 注文住宅の相場と内訳
- 相場を超えないためのポイント
- 予算の決め方
- 予算別の注文住宅の特徴
頭金の用意やローンの支払いに苦しまないように、相場や予算を抑えるコツを知っておきましょう!
注文住宅の相場
注文住宅を建てるうえで、以下の2つはあらかじめ知っておきたいポイントです。
- 建築費の全国平均
- 住宅面積の全国平均
順に解説します。
1. 建築費の全国平均
住宅金融支援機構「2023年度集計表」によると、2023年の建築費の全国平均は3,920.8万円です。建築資材や人手不足など、さまざまな要因により、年々増加傾向にあります。
一気に返済できる額でないからこそ、ライフイベントを考慮しつつ返せるか判断することが大切ですね!
しかし、建築費は地域によって大きく異なります。地価の高い首都圏は建築費の平均が4,383.2万円ですが、都市圏を避ければ、平均は3,508.4万円まで抑えられます。
なお、地域ごとの建築費の相場は以下のとおりです。
地域 | 建築費(万円) |
---|---|
全国 | 3,920.8 |
首都圏 | 4,383.2 |
近畿圏 | 4,006.8 |
東海圏 | 3,568.1 |
その他の地域 | 3,508.4 |
首都圏が最も高額なことがわかりますね!
2. 住宅面積の全国平均
住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によると、住宅面積の全国平均は102.2㎡でした。
住宅面積は、建築費の増加に合わせて縮小しつつあります!
建築費と同様に、地価の高い首都圏では面積の平均が100㎡を切っています。
地方になるほど面積が大きくなるので、広さにこだわりたいなら都市圏は避けたほうが良いでしょう!
地域ごとの住宅面積の平均は以下のとおりです。
地域 | 住宅面積(㎡) | 住宅面積(坪) |
---|---|---|
首都圏 | 105.6㎡ | 31.94坪 |
近畿圏 | 111.9㎡ | 33.85坪 |
東海圏 | 123.0㎡ | 37.21坪 |
その他地域 | 122.6㎡ | 37.09坪 |
コストを抑えたい方は、地方に住むことを検討するといいでしょう。
なお、予算を考慮しつつ住みたい家のイメージを固めたいという方には、LIFULL HOME’Sの家づくりノートがおすすめです。家族間で話し合ってノートを作成することで、建築会社との打ち合わせもスムーズに進めやすくなるので、1冊持っておくと心強いでしょう。
LIFULL HOME’Sの家づくりノートの詳細は、関連記事「【めっちゃ簡単】家づくりに役立つノートをもらう方法!よくある疑問もスッキリ解決(PR)」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
注文住宅の相場の内訳
注文住宅の費用の内訳は以下のとおりです。
- 土地代
- 建築費
- 不動産登記
それぞれ解説します。
1. 土地代
公益財団法人全国宅地建物取引業協会連合会が行った「土地・住宅に関する消費者アンケート調査(2017年)」によると、一戸建てを建てるための土地の購入費の全国平均は約1,600万円だとわかりました。
土地付きの注文住宅を建てる場合、総額のおよそ30%を占めています!
土地代を抑えたい場合は、不動産会社で売り急ぎの土地を探したり、地方のエリアを選んだりするのがおすすめです。
2. 建築費
建築費の全国平均は3,920.8万円です。土地付きの注文住宅を建てる場合は、総額の70%を占めます。
建築費には、基礎工事・外装工事・内装仕上げ・住宅機器設備工事など、一戸建ての完成に必要なすべての工事が含まれます。
ちなみに、工事の依頼先によって、建築費用は異なるため複数社を比較検討することが大切です。大手ハウスメーカー>中小建築会社>街の工務店の順に、費用が抑えられるケースが多いです。
3. 不動産登記
不動産登記とは、一戸建てを取得する時に、その土地や建物の所有者をはっきりさせるために登記を行う作業のことです。
必要な費用としては、登録免許税・司法書士報酬・その他実費(交通費や登記事項証明書取得費用など)があげられます!
専門家に依頼した場合、トータルで30〜50万円の費用が必要です。ただし、自分ですれば専門家への報酬が発生しないので、20万円ほど抑えられます。時間はかかりますが、余力がある方は自分でやってみると良いでしょう。
注文住宅の相場を超えないための7つのポイント
ここでは、注文住宅の相場を超えないためのポイントを紹介します。
- 外観をシンプルにする
- 水回りを一箇所にまとめる
- 間取りを少なくする
- 自分でできる作業は自分でする
- あとから変えられるところは安く済ませる
- 値引き交渉をする
- 最低限の知識を身につける
優先順位をつけたり、妥協できるポイントを考えたりすることで、予算オーバーを防ぎましょう!
1. 外観をシンプルにする
家の外観は、第一印象を左右する非常に重要な部分です。そのため、多くの人がこだわりを持つ部分でもあります。しかし、複雑なデザインや特殊な材料を選ぶことで、予算オーバーするケースは少なくありません。
外観をシンプルにすることで、不要なコストを減らせるだけでなく、あとからのメンテナンスがしやすくなります!
定番のデザインや材料を選ぶことで、高品質ながらもコストを抑えられるでしょう。
2. 水回りを一箇所にまとめる
水回りとは、キッチン・浴室・洗面所・トイレなどの水を使う場所のことです!
水回りを離れた場所に配置すると、配管や排水の工事が複雑になり、予算が増えてしまいます。
たしかに、お手頃な価格の物件は、水回りがまとまっているイメージがあります!
水回りが一箇所にあることで配管の距離を短くできるので、工事コストの削減が可能です。また、メンテナンスが簡単になるので、壊れたときでも安心です。
3️. 間取りを少なくする
部屋が多く間取りが複雑だと、予算オーバーに陥りやすいです。
壁の枚数が増えるとその分材料費や工事費がかかるので、予算を抑えたいなら最低限にしておきましょう!
また、複雑な間取りは家の使い勝手を悪くしてしまいます。シンプルで無駄のない間取りを選ぶことで、建築費の削減が可能です。
たとえば、開放的なLDKや収納スペースを考慮した設計を行うことで、壁の少なさを活かしつつ、魅力的な家づくりができるでしょう。
なお、間取りについてプロに相談したい方は、タウンライフの利用がおすすめです!
初心者だと失敗しがちなポイントも、プロが徹底的に見極めてくれます。複数社の間取りプランを一括請求できるのが魅力なので、家づくりを始める方は活用することを推奨します。
タウンライフの詳細は、関連記事「【希望が叶う】理想の家を実現する間取りの決め方を徹底解説!無料でプロに依頼する方法を紹介」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!
4. 自分でできる作業は自分でする
注文住宅の建築中や完成後に、自分でできる作業は自分で行うと、工事費を削減できます。
内装の塗装・フローリングの施工・庭の整備などは、専門的な知識がなくても自分でできそうですよね!
一方で、電気や水道などの専門的な工事はプロに任せたほうが安全です。できる範囲でのDIYを取り入れることで、大幅なコスト削減が期待できます。
5. あとから変えられるところは安く済ませる
注文住宅を建てる際には、長く住むことを前提に考えるため、細かい部分までこだわりたくなるでしょう。しかし、あとから簡単に変更やアップグレードができる部分については、住み始めてからアレンジするというのも良い手段です。
照明器具・ドアノブ・カーテンなどはあとから変えられるので、最初は最低限で問題ないです!
最初から高価なものを選ぶのではなく、自分の好みや生活スタイルにあわせて徐々に変えていくことで、予算を有効に使えるでしょう。
家づくりで予算を抑える方法については、関連記事「【メモ必須】マイホーム購入時にかかる初期費用の目安と内訳を解説!予算を抑える4つの方法も紹介」でも解説しています。あわせて参考にしてみてください!
6. 値引き交渉をする
注文住宅の価格を抑えるための重要な戦略の一つが、値引き交渉です。多くの人が値引き交渉に躊躇しがちですが、一定の値引きができる可能性があります。
具体的な値引き率は、工務店で平均3%、大手ハウスメーカーでは3〜8%程度が一般的です。ただし、これはあくまで平均的な数字であり、企業によって方針が異なることに注意が必要です。
中には一切値引きに応じない企業もあるため、事前に情報収集を行いましょう!
なお、効果的な値引き交渉のために、以下のようなポイントを押さえておいてください。
- 複数の業者から見積もりを取り、比較材料を用意する
- 具体的な値引き額や理由を明確に伝える
- 時期を見計らう(例:決算期や閑散期)
- 付加価値のあるオプションを要求する
値引き交渉は単に価格を下げるだけでなく、より良い条件で家づくりを進めるためのコミュニケーションの機会ともいえます。建築会社との良好な関係を維持しつつ、交渉を進めることが大切です。
7. 最低限の知識を身につける
注文住宅の相場を超えないためには、住宅に関する最低限の知識を身につけることが不可欠です。知識があることで不必要な出費を避けられるため、予算オーバーを防げます。
家づくりを行う際は、ハウスメーカーや不動産会社に全てを任せきりにするのではなく、自ら進めるスタンスが重要です。
なお、知識を身につけることには、以下のようなメリットがあります。
- 建築会社との対等な交渉が可能になる
- 不必要なオプションや高額な設備の提案を見極められる
- 自分のニーズに合った適切な選択ができる
- 将来的なメンテナンスや修繕の計画が立てやすくなる
知識を得るためには、住宅関連の書籍やウェブサイトの閲覧、住宅展示場の見学、セミナーへの参加などが有効です。
時間と労力はかかりますが、長期的に見れば大きな節約につながる投資となるでしょう!
注文住宅の予算の決め方5ステップ
注文住宅を建てる際、適切な予算設定は成功の鍵となります。しかし、多くの人が予算決めで悩んでいることが多いです。
ここでは、理想の家を実現しつつ、財政的な安定も保つための5つのステップを紹介していきます。
- 現在の資産状況を把握する
- 住宅ローンの借入可能額を確認する
- 月々の返済額を試算する
- 諸経費を考慮に入れる
- 希望と予算のバランスを取る
詳しく見ていきましょう。
1. 現在の資産状況を把握する
注文住宅の予算を決めるために、自身の現在の財務状況を正確に把握することから始めましょう。具体的には、現在の貯蓄額や投資資産の評価額、将来の収入見込み、負債状況などを詳細に確認します。
例えば、貯蓄が1000万円、投資資産が500万円、年収が600万円で今後5年間は安定的に収入が得られる見込みがあるなど、具体的な数字を把握しましょう!
自身の財務力を客観的に評価し、どの程度をマイホームにあてられるかを想像してみてください。正確な資産状況の把握は、後の住宅ローン借入や返済計画に影響するため、慎重かつ詳細に行いましょう。
2. 住宅ローンの借入可能額を確認する
次に、住宅ローンの借入可能額を確認しましょう。借入可能額に応じて、実際に建てられる家の規模や仕様は大きく左右します。
借入可能額を確認するには複数の金融機関に相談し、自身の年収や勤続年数、勤務先の安定性、他の借入金の有無などを正確に伝えましょう。借入可能額がわかると、より現実的な予算設定が可能になり、無理のない家づくりの計画を立てられます。
ただし、借入可能額いっぱいまで借りることが賢明とは限らないことには注意が必要です!
3. 月々の返済額を試算する
月々の返済額を適切に設定することは、長期にわたる住宅ローンを無理なく返済していくために重要です。
月収の25%以内に月々の返済額を抑えるのがおすすめです!
目安となる返済額を計算し、ローンシミュレーターを活用して複数のパターンで試算することをおすすめします。月収の25%を超える場合は、借入額を減らすか、返済期間を延ばすなどの調整が必要です。
ただし、返済額を低く抑えるために返済期間を長くしすぎると、支払利息の総額が増えてしまうことには注意してください。将来的な家計の安定性を確保し、快適な生活を維持できるよう、住宅ローンの検討はしっかり行いましょう。
4. 諸経費を考慮に入れる
注文住宅の予算を立てる際、建築費用だけでなく、さまざま諸経費を忘れないようにしましょう。以下のような項目が、諸経費に分類されます。
- 税金(不動産取得税、登録免許税、固定資産税など)
- 登記費用
- 引越し費用
- 仲介手数料(土地購入の場合)
- 家具・家電の購入費用
- 内装費用
- 外構工事費用 など
これらは、建築費用の10〜20%程度になることも珍しくありません。建築費用以外にも相当額の費用が必要となることを理解し、予算に組み込んでおくことが重要です。
5. 希望と予算のバランスを取る
注文住宅の計画において、理想の家と現実的な予算のバランスを取ることは非常に重要です。財務状況と借入可能額や諸経費を考慮しながら、希望する家づくりの優先順位を決めていきます。
まず、家族で話し合い、絶対に譲れない要素と妥協可能な要素を明確にしましょう!
例えば「広いリビング」は必須だが「大きな庭」は妥協可能といった具合です。
次に、各要素にかかるコストと得られる満足度を比較検討してください。高い金額を支払ってでも得られる効果は大きいのかを確認すると、決めやすいでしょう。
優先順位をつけて予算を配分することで、無理のない範囲で最大限満足度の高い家づくりができます。
注文住宅の特徴を予算別に解説
予算ごとに、建てられる注文住宅のグレードは異なります。
- 1,000万円|ローコストメーカーの住宅が多め
- 2,000万円|大手メーカーで住宅が建てられる最低ライン
- 3,000万円|注文住宅を建てられる平均的な予算
- 4,000万円|外観や設計にこだわりを反映できる
予算が少ないと、ローコストメーカーの商品や追加費用が発生しない規格商品を選ぶ必要があります。一方、予算を十分にかけられるなら、外観からこだわった理想的な住宅が建てられるでしょう。
予算の目安から逆算して、間取りや設備を検討すると失敗しにくいはずです!
ここでは、予算ごとのグレードについて、具体的に解説します。
1. 1,000万円|ローコストメーカーの住宅が多め
1,000万円で家を建てようとすると、ローコストメーカーが提供する住宅を選ぶことになります。ローコストメーカーの商品は、コストパフォーマンスを重視した設計がされており、設備も必要最低限です。
付け足したい設備や機器類がある場合、オプションで追加する必要があるため、予算オーバーすることがしばしあります。
予算を超えないよう、追加費用がかからない規格商品や、あらかじめ価格が決められている商品を検討してみてください。
2. 2,000万円|大手メーカーで住宅が建てられる最低ライン
2,000万円を予算にすると、大手ハウスメーカーで注文住宅を検討できる最低ラインに立てます。大手ならではの安心のサポート・アフターサービス・品質が期待できるので、広さや設備を妥協できれば快適に暮らせるでしょう。
2,000万円で大手を利用する場合、建坪を抑える・追加費用が発生しない規格商品を選ぶなどの制限がかかることが多いです!
予算内で満足いく家づくりができるよう、念入りに計画を立てましょう。
3. 3,000万円|注文住宅を建てられる平均的な予算
注文住宅を建てるうえでの平均的な予算が3,000万円~です!
地方なら、ある程度間取りや設備にこだわった家が建てられるでしょう。
首都圏だと予算的に厳しいかもしれませんが、地方なら満足できる家が建てられるはずです!
しかし、外観にこだわったり環境に優しい太陽光システムを加えたりすると付帯工事費が高額になってしまい、調整が必要となることがあります。理想を詰め込むのではなく、バランスよく希望を取り入れることが大切です。
4. 4,000万円|外観や設計にこだわりを反映できる予算
4,000万円あれば、家づくりの予算としては十分な金額です。100㎡ほどの面積の家なら、外観やインテリアにこだわったり、ビルトイン型の食洗機を付けたりできるでしょう。
家を建てる候補地として首都圏も検討できる予算です!
さらに、設備にこだわらなければ130㎡ほどの広めの面積を確保することや、二世帯住宅としての設計も視野に入れられます。
予算ごとの基準を知っておくことで、家族のライフスタイルや希望を家づくりに上手く反映させましょう。
注文住宅は相場を考慮して建てよう
人生の一大イベントである注文住宅の建設。立地や間取りにこだわたくなるかもしれませんが、その分、予算が膨れ上がってしまうこともあるので注意が必要です。
ここ数年はさまざまな理由で建築費が増加傾向にあるので、甘く見積もっていると後悔するかもしれません…
数年後にローンの返済で苦しまないためにも、相場や予算を抑えるコツを知っておきましょう!
「すーさんの相談窓口」では、満足いく家づくりをサポートしています。注文住宅に関する悩みがある方は、予算や間取りについて無料でアドバイスしますのでお気軽にご相談ください。