「耐震等級3だと間取りに制限はあるの?」
「どのような間取りができるのか知りたい」
「耐震等級3で後悔したという人もいるみたいだけど大丈夫かな?」
「耐震等級」とは、住宅の耐震性能を示す指標です。
中でも耐震等級3は、大地震発生時にも建物の倒壊を防げる最高ランクです!
しかし「耐震等級3は構造上の制約が多く、自由な間取りが実現できないのではないか」という声が多くあります。
そこで本記事では、耐震等級3の間取りについて以下の内容を解説していきます。
- 耐震等級3の間取りの自由度
- 設計のポイント
- 間取り例
- 注意点
間取りを考える際のヒントや具体例を紹介しているのでぜひ参考にしてみてください!
耐震等級3の間取りの自由度は決して低くない
耐震等級3の家は、構造上の制約を受けるものの、過剰に間取りの自由度がなくなると心配する必要はありません。
耐震等級3の住宅は、官公庁や消防署などと同等レベルの耐震性能を持つことが求められます。そのため、耐力壁の配置や筋交いなど、構造上の特定の要件を満たすことが必要です。
なお、以下の表は、耐震等級別の求められる強度です。
耐震等級 | 内容 |
---|---|
耐震等級1 | 極めて稀に発生する地震(震度6~7程度)による力に対して倒壊、崩壊等しない程度 |
耐震等級2 | 耐震等級1の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない |
耐震等級3 | 耐震等級1の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない |
「間取りの自由度が低い」と感じるのは、壁の配置や筋交いなど構造上の要件を満たすために制約を受けると言うことが強調されすぎているためです!
確かに耐震等級3の住宅では構造計算に基づいた設計が必要で、一定の制約があることは事実です。しかし、適切な設計と施工の工夫によって、高い耐震性能と自由な間取りの両立は十分に可能です。
むしろ近年の建築技術の進歩により、従来よりも柔軟な設計が実現できるようになっています。
開放的なリビングや吹き抜け、大きな開口部など、魅力的な空間づくりが可能です。重要なのは、構造上の制約を理解した上で、適切な設計手法を選択することです。
耐震等級3でも自由な間取りを実現可能!5つの設計ポイント
耐震等級3であっても、自由な間取りの設計は可能です。ここでは、自由な間取りを実現するためには、以下の5つの設計上のポイントが解説します。
- 重心のバランスを整える
- 耐力壁の配置で安定させる
- 開口部の大きさと配置に気をつける
- 柱と梁の接合方法を確認しておく
- 強度のある床材を採用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 重心のバランスを整える
住宅の耐震性能を高めるための最も基本的なポイントは、建物全体の重心バランスを整えることです。1階と2階の形状が著しく異なり、重心がどちらかに偏っている場合、地震の揺れに弱くなります。
たしかに重心のバランスが悪いと、横からの揺れには弱そうですね。
例えば、1階と2階が同じ形状の「総二階」の造りは、上下階でバランスの取れた構造であるため地震時の揺れに対する安定性が向上します。
また、軽量な屋根材や外装材を使用することで建物全体の軽量化を図ることも効果的です。特に屋根など家の上部が重たい場合には、地震の揺れによって家が倒壊するリスクが高まります。
屋根材を軽量化するといった技術は進んでいるので、適切な資材を選ぶことで重心バランスの良い家づくりは可能です!
建物の高さをできるだけ抑えて重心を低く保ち、各階の床面積や重量配分を均等にすることで、より安定した構造を実現することができます。
重心バランスを意識した設計をすることで、間取りの自由度を確保しつつ、高い耐震性能を実現しましょう。
2. 耐力壁の配置で安定させる
耐震等級3の住宅では、耐力壁の適切な配置が重要です。外周部に十分な耐力壁を設置して建物の骨格を強化し、建物中央部にもバランスよく耐力壁を配置することで、安定性を向上させられます。
間取りの自由度を高めるには、室内の間仕切り壁をできるだけ少ない構造にするのが効果的です。外周部の耐力壁を効果的に配置することで、室内の間仕切り壁の制約を最小限に抑えられるでしょう。
耐力壁の量と配置を最適化することで、広い部屋を設けるなど自由な間取りが実現します!
3. 開口部の大きさと配置に気をつける
窓やドアなどの開口部は、建物の強度を弱める原因となります。しかし、適切な配置や大きさなどを工夫することで、耐震性能との両立は可能です。
具体的には開口部を連続して配置することを避け、建物の角部分は避けることが基本です。
また、開口部の間に適切な耐力壁を設けることで、構造的な安定性を確保できます。特に大きな開口部を設ける場合は、その周辺の構造補強を十分に行うことが重要です。
希望する間取りに応じて、どのように耐力壁を配置するか設計しにしっかり検討してもらうことが大切ですね。
構造的に重要な部分は開口部を最小限に抑えつつ、適切な補強により、開放的な空間と高い耐震性能を両立させられるでしょう。
4. 柱と梁の接合方法を確認しておく
耐震等級3の住宅では、柱と梁の接合部の強度が特に重要です。多くのハウスメーカーは独自の接合金物や工法を開発し、接合部の変形を最小限に抑える設計を実現しています。
例えば、住友不動産では柱と梁の接合部に構造用接合金物を使用することで強度を高めています。またアイフルホームでは地震に強い家を実現するために「テクノスター金物」を使用していることが特徴です。
接合部の強度は、ハウスメーカーの技術が試されている箇所とも言えますね!
地震時の応力を効果的に伝達できる接合方法を選択し、定期的な点検や補修が可能な構造とすることで、長期的な安全性を確保できます。
これらの技術を活用することで、より自由度の高い設計が可能になり、建物全体の耐震性能を高められるでしょう。
5. 強度のある床材を採用する
床構造は、建物の水平剛性に大きく影響します。耐震等級3の家では、高強度の床材を採用して床の剛性を確保しています。
床の変形を抑制する構造計画を立て、床の重量と強度のバランスを考慮することで、吹き抜けなどの開放的な空間も実現可能です。
強度の高い床材を使用することで、床のたわみや変形を防ぎ、建物全体の耐震性能を高められます!
なお、家の耐震性と間取りのバランスにお悩みの方は、すーさんの相談窓口をご利用ください。第三者の立場で、無料で家づくりのアドバイスをしています。
\ ノープランでOK /
耐震等級3で実現できる間取りの成功事例3選
具体的に耐震等級3の家で、どのような間取りが実現できるのか知りたいという方は多いでしょう。こちらでは、以下の3つの間取りを紹介します。
- 広く開放感のあるリビングのある家
- 吹き抜けのある家
- スキップフロアのある家
一つひとつ見ていきましょう。
1. 広く開放感のあるリビングのある家
こちらの家は、広く開放的なリビングを実現した事例です。32畳の大空間にも関わらず、壁は外周のみで間仕切り壁は配置されていません。また、足元から天井までの大型の掃き出し窓も採用できています。
こんなに広くて開放的な空間と耐震性を両立できるのですね!
外周部の耐力壁を効果的に配置し、大開口部周辺の構造補強を徹底することで、高い耐震性能を確保しています。
床の剛性を高めて水平力に対する抵抗力を確保しながら、光と風を取り入れる窓を配置することで、快適な居住空間を実現しています。
2. 吹き抜けのある家
こちらの家は、大規模な吹き抜けを採用した事例です。約20畳のLDKに、10畳もの広さの吹き抜けを取り入れています。
大きな吹き抜けを取り入れながらも耐震等級3を実現できたのは、SE工法という木造建築技術を採用しているためです。
SE工法とは「SE金物」や「Sボルト」といった独自の金物による接合、平角柱と大梁で構成された「耐力フレーム」などを取り入れた技術です。
先端技術を使えば、耐震等級3の家でもこれだけ自由度の高い間取りを実現できることを証明していますね!
3. スキップフロアのある家
こちらの家はスキップフロアを取り入れ、レベル差を活かした変化のある空間を実現した事例です。
スキップフロアは構造が複雑になるため、耐震性を高めることと両立すること難しいと考えられていました。しかし、各フロアの重量バランスに配慮した設計により、柔軟性の高い住空間を実現しています。
耐震性を高めながらも、こんなにおしゃれな空間も実現できるのですね!
耐震等級3の間取りを検討する際の5つの注意点
耐震等級3の家で自由な間取りを実現するには、ハウスメーカーや設計士との綿密な打ち合わせが必要です。こちらでは、間取りづくりの5つの注意点を紹介します。
- 施工実績が豊富なハウスメーカーを選ぶ
- 設計依頼時に希望を伝える
- 設計士との密な連携
- 建築コスト増を見越して資金を準備する
- 工期が長くなることを想定しておく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 施工実績が豊富なハウスメーカーを選ぶ
耐震等級3の住宅建築には、高度な技術と豊富な経験が必要です。実績のあるハウスメーカーの施工事例を確認し、独自の耐震技術や工法の内容を精査しましょう。
各ハウスメーカーのWebサイトでは詳しく工法や技術を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください!
地震に強いハウスメーカーについては、関連記事「【暮らしを守る】地震に強いハウスメーカー10選!選び方や耐震性の高い家の特徴を紹介」で詳しく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
2. 設計依頼時に希望を伝える
耐震等級3の住宅は、計画段階からの綿密な打ち合わせが重要です。希望する間取りや設備を具体的に伝え、等級3の強度を確保しながら、どのような設計が可能であるか検討してもらいましょう。
実現可能であるかは設計士が考えるべきことなので、施主としては自身の希望を明確に伝えることが大事ですね!
3. 設計士との密に連携する
設計士とのコミュニケーションは、理想の住まいを実現する鍵となります。定期的な打ち合わせの機会を設け、要望や疑問点を遠慮なく伝えることで、より良い設計ができあがっていくでしょう。
打ち合わせの回数が増えることに遠慮する必要はないので、納得いくまで何度でも行うことが大切です!
4. 建築コスト増を見越して資金を準備する
耐震等級3の住宅は、一般的な住宅と比べて建築コストが増加します。等級1と比べて20~30%程度のコスト増となり、坪単価で70~100万円程度を想定する必要があります。
免震・制震装置を導入する場合は、さらなるコスト増になるでしょう。
耐震等級を上げるには、コスト増を覚悟しておくことが必要ですね!
5. 工期が長くなることを想定しておく
高品質な施工を実現するためには、十分な工期の確保が必要です。耐震等級3の家では、構造計算や性能評価に要する時間もあるため、一般的な住宅より1~2か月程度の工期延長を見込みましょう。
耐震等級3の家を建てるには、余裕のあるスケジューリングが大事なのですね!
耐震等級3の家を建てる際の注意点については、関連記事「【心残りなし】耐震等級3にして後悔する理由4選!建築時のポイントやハウスメーカーも紹介」でも詳しく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
耐震等級3と自由度の高い間取りは両立可能
耐震等級3の住宅でも、適切な設計と施工の工夫により、自由度の高い間取りを実現することは十分に可能です。
重要なのは専門家との密な連携のもと、構造的な制約を理解した上で、創意工夫を凝らした設計を行うことです。
建築費用や工期などの課題はありますが、地震大国である日本において、家族の安全を守る耐震性能は何物にも代えがたい価値があります。
認定を受けた住宅は、将来的な資産価値の維持にもつながるので、基準をクリアできるようにしましょう。なお、耐震等級3の家の間取り作りで不安がある方は、すーさんの相談窓口をご利用ください。
第三者の専門家の立場から、希望する間取りを実現するための方法を一緒に考えます!
専門家のアドバイスを受けながら、安全性と快適性を両立させた理想の住まいを実現しましょう。