「長期優良住宅にすると後悔するって聞いたけど本当?」
「後悔することやデメリットを具体的に知りたい」
「メンテナンスの費用はいくらかかる?」
これから何十年と住み続けるマイホームだからこそ、長期優良住宅にするべきか判断に悩みますよね。
どんな住宅でも、長く住むには定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
つまり、長期優良住宅ならではのポイントを押さえることが、判断する際の重要なポイントとなります。
そこで本記事では、大手ハウスメーカーに15年勤務した経験のある筆者が、以下の内容を解説します。
- 長期優良住宅の特徴
- 後悔する理由
- 知っておくべきポイント
本記事を最後まで読んで、長期優良住宅にすべきか判断できるようになってください!
長期優良住宅とは?2つの特徴を解説
長期優良住宅の良し悪しを判断する前に、長期優良住宅の特徴を2つ解説します。
- 8つの認定基準をクリアした家
- 補助金や特例措置を受けられる家
それぞれについて詳しく解説するので、長期優良住宅のポイントを押さえましょう。
1. 8つの認定基準をクリアした家
長期優良住宅とは、下表にまとめた8つの認定基準をすべてクリアした住宅です。
認定項目 | 概要 | 代表的な基準 |
---|---|---|
劣化対策 | 長く住める工夫があるか | 劣化対策等級3かつ構造の種類に応じた基準を満たすこと |
耐震性 | 地震に強いか | 耐震等級2 |
省エネルギー性 | 省エネを意識した性能か | 断熱等性能等級5 かつ 一次エネルギー消費量等級6 |
維持管理 | メンテナンスがしやすいか | 維持管理対策等級3 |
居住環境 | 景観などに配慮しているか | 地区計画などの内容との調和 |
住戸面積 | 生活に適した広さか | 75㎡以上 |
維持保全計画 | 計画的にメンテナンスがされているか | 定期な点検・補修などの計画 |
災害配慮 | 災害に対して強いか | 災害に対する措置 |
参照:国土交通省|認定制度概要パンフレット(新装版)
ハウスメーカーや工務店の独自規格ではないんですね!
簡単に説明すると「安心で快適に長く暮らせる家ですよ」と第三者機関(一般社団法人 住宅性能評価・表示協会)にお墨付きをもらうイメージです!
なお、8つの認定基準をすべてクリアしていても、長期優良住宅と勝手に名乗れません。長期優良住宅は認定制度のため、所管行政庁に申請して認定を受ける必要があります。
2. 補助金や特例措置を受けられる家
認定の手間と時間が必要になる長期優良住宅は、国から補助金や特例措置を受けられます。金利引き下げや税の特例措置などを受けられるため、長期的に見るとお得な制度です。
以下に補助金や特例措置についてまとめたので、確認してみてください。
対象 | 問い合わせ先 | |
---|---|---|
住宅ローンの金利引き下げ | ・フラット35 S (金利Aプラン)及び維持保全型 ・フラット50 | (独)住宅金融支援機構お客様コールセンター |
税の特例措置 | ・所得税 ・登録免許税 ・不動産所得税 ・固定資産税 | 国土交通省 |
地震保険料の割引 | ・耐震等級割引 ・免震建築物割引 | 損害保険代理店 損害保険会社 |
参照:国土交通省|認定制度概要パンフレット(新装版)
なお、それぞれ問い合わせ先が異なり、適用期限があることには注意が必要です。
長期優良住宅を検討している方は、申し込み時にどの補助金が対象になるかなど、最新情報を国土交通省のサイトで確認しましょう。
家づくりの補助金については、私のInstagramの投稿をチェックしてみてください。自分ですべてを調べるのは難しいので、補助金の調べ方など紹介しています…!
長期優良住宅にして後悔する7つの理由
長期優良住宅にして後悔したと感じる理由は、以下の7つです。
- 認定申請の手数料が高かった
- 認定申請に時間がかった
- 建築コストが上がった
- 修繕積立金額が高かった
- 定期点検に手間と費用がかかった
- 相続や売買時に手続きが必要だった
- リフォーム時に申請しなくてはならなかった
それぞれの理由について、詳しく解説します。
1. 認定申請の手数料が高かった
長期優良住宅は認定制度のため、申請が必要です。申請先は所管行政庁で、家を建てる場所によって申請先が変わります。
また、申請には手数料が必要です。手数料は申請先だけでなく、書類(確認書)の有無や家の大きさによって金額が変わる点にも注意しましょう。
例えば、大阪府高槻市と東京都新宿区で申請する場合を比較すると、下表のとおりとなります。
確認書あり | 確認書なし | |
---|---|---|
大阪府高槻市 | 13,000円 | 73,600円 |
東京都新宿区 | 7,100円(100㎡以内) ※面積によって異なる | 52,000円(100㎡以内) ※面積によって異なる |
地域や家の面積によって金額が異なるんですね……
確認書とは簡単に説明すると「長期優良住宅の認定基準をクリアしていますよ」という書類です。
確認書については、登録住宅性能評価機関に作成を依頼しなければなりません。作成依頼時には料金が必要で、依頼先や家の広さ(床面積)によって異なります。
申請先で異なりますが、5万円前後を想定しておきましょう。
2. 認定申請に時間がかった
長期優良住宅の申請には手数料が必要なだけでなく、認定されるまでの待ち時間も必要です。必要な期間は約1ヶ月で、まとめると下表のようになります。
申請先 | 必要書類 | 必要日数の目安 |
---|---|---|
登録住宅性能評価機関 | ・確認申請書 ・設計住宅性能評価申請書 ・添付図書 | 14〜21日程度 |
所管行政庁 | ・認定申請書 ・添付図書 | 7〜14日程度 ※確認書など有 |
認定申請はハウスメーカー以外に、建築主(あなた)や代行会社など代理での申請も可能です。ただし、初めての人が容易にできる申請ではありません。
自分で申請書類を作成して、確認書なしで所管行政庁に提出すれば2週間以上かかることを心得ておいてください。
初めての申請の場合には、不備や指摘事項に対する加筆修正の手間も生じるので、期間はさらに延びるでしょう。
用意する書類の数が多さや、不備などで生じる再提出の手間と時間を考えると、ハウスメーカーや代行会社に依頼するのが無難です。
3. 建築コストが上がった
長期優良住宅の認定基準を満たすには、ある程度の性能を有した建築資材を使う必要があります。
ローコスト住宅や地域の工務店などによる格安住宅を検討していた場合、想定よりも建築コストが大幅にアップする場合があります。
予算から大幅にアップすると、家づくりのハードルが一気に上がりますね。
一方で、大手ハウスメーカーが建てる家は、長期優良住宅の基準を標準仕様ですでに満たしている場合も多く、大幅な建築コストの増加はないでしょう。
ハウスメーカーや工務店に見積作成を依頼する際は「長期優良住宅を考えています」と伝えるのがおすすめです!
4. 修繕積立金額が高かった
定期的な点検や補修が必要な長期優良住宅では、まとまった修繕費が必要になった場合に備えて修繕費を毎月積み立てます。
もちろん法律などで決められているわけではないため、ハウスメーカーなどから提案される金額に幅があるのが特徴です。
修繕積立金額は住宅の広さや構造、使用している資材など、さまざまな要素から算出されます!
したがって、各家庭で修繕積立金額は異なります。
「Aさん宅は1万円なのに、我が家は2万円!?」のように金額だけを比較しても意味はないです。
金額が妥当かを判断したい場合には、費用の内訳などの詳細な内容を確認しましょう。
5. 定期点検に手間と費用がかかった
長期優良住宅の認定基準のひとつに、維持保全計画の作成があります。書類の作成だけでなく、実際に点検や修繕が必要になることを忘れてはいけません。
点検頻度は工事の完了から10年以内、以降も10年以内に点検を行い、維持保全の期間は30年以上と決められています。
点検や修繕をハウスメーカーなどに依頼する場合は、建築時の打ち合わせの段階で、頻度や価格を確認してください。また、点検費用や修繕費用が妥当かを判断するために、見積項目を確認しましょう。
作業員の人数や作業日数(時間)、出張交通費、足場や作業車の有無などを確認するのがおすすめです!
また、定期点検以外に、台風や地震の後には臨時点検が必要になります。当初の計画よりも、さらに手間と費用が必要になる点には注意してください。
心配な方は長期優良住宅とそうでない場合のランニングコストを、ハウスメーカーに試算してもらうのがおすすめです!
6. 相続や売買時に手続きが必要だった
長く住むことを前提にした長期優良住宅の家づくりでは、自分たちが住み終えた後についても考える必要があります。
長い人生ですから建てた家を子どもに相続したり、売却したりの選択肢がありますよね!
譲渡された人が補助金などを継続して受け取るには、地位の継承が必要です。地位の継承を行うには、新しく長期優良住宅を所有することになった人が、所管行政庁に申請しなければなりません。
地位を継承しない場合も、認定計画に基づく維持保全などをとりやめる旨の申し出をしなければならない点には注意してください!
家の相続や売買時に注意すべきポイントについては、関連記事「【理想が叶う】中古住宅の7つのメリット!注意点や購入の流れを住宅のプロが徹底解説」で解説しています。相続や売買に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
7. リフォーム時に申請しなくてはならなかった
建設当初の設計を判断の基準にしている長期優良住宅では、リフォームを行う際には着工前に所管行政庁で申請がほとんどのケースで必要です。
リフォームで手を加えると認可の基準を満たさなくなる可能性があるため「手を加えますけどよろしいですか?」と確認するイメージですね。
具体的には部屋を増築したり、梁や壁を取り払ったりするような工事です。認定基準のひとつである耐震等級が下がるようなリフォームを行う際は、着工前に申請が必要と覚えておくと良いでしょう。
判断に迷う場合は、リフォームの前に「この家は長期優良住宅の認定を受けていますが申請は必要ですか?」と確認するのがおすすめです。
ここまで長期優良住宅について、特徴や後悔する理由を解説してきました。しかし、本当に選んでも良いのか、身近に相談できる知人がいなくて判断しにくいなどと悩む方も多いでしょう。
そんな時は、家づくりのプロであるすーさんにLINEで相談してみてください。
長期優良住宅があなたの家づくりに合っているのか、疑問や家づくりに対する不安も家づくりのプロである私が相談にのります!
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長期優良住宅で後悔を防ぐ!知っておくべき5つのポイント
長期優良住宅を選んで後悔しないために、事前に知っておくべきポイントは以下の5つです。
- 認定は取り消せる
- 取り消すと補助金がなくなる
- 違反すると罰則がある
- 維持保全計画書の内容は変えられる
- 点検は自分でもできる
それぞれのポイントをあらかじめ知っておくと、長期優良住宅のメリットに気付けるようになります。最後まで内容を確認して、メリットを活かせるかイメージしながら読み進めてください。
1. 認定は取り消せる
住み始める前や着工中など、申請中に「やっぱり長期優良住宅をやめたい」と思うことがあるかもしれません。
実は長期優良住宅の申請は、申請途中でも取り下げられます!
また、住み始めてから「やっぱり点検費用が気になる….」と思ったり、中古で購入した長期優良住宅を普通の家にしたいと思ったりすることもあるでしょう。
このような場合でも、長期優良住宅の認定を受けた後から取り消せます。ただし、認定の前でも後でも、取り消す場合には申請手続きが必要です。
「やめた」と決めても、申請なしに認定は取り消せないので注意してください!
2. 取り消すと補助金がなくなる
長期優良住宅の認定を取り消すと、補助金や特例措置はなくなります。取り消したタイミングや条件によっては、補助金などの返還を求められる場合があるので注意してください。
返還の有無については、取り消し申請時に所管行政庁に問い合わせるのがおすすめです!
返還以外にも、翌年以降の税金やローンの金利などにも注意が必要です。今年支払った金額を想定して準備をしていると、予想以上の金額に驚くことになります。
取り消し申請を行う際には、取り消す前後で税金などの支払いがどのように変化するのかを、事前に必ず確認しておきましょう!
また、取り消した後に「やっぱり認定してほしい」と思っても、改めて既存住宅としての申請手続きが必要になることは覚えておいてください。
3. 違反すると罰則がある
補助金や特例措置を受けられる長期優良住宅ですが、違反すると罰則があります。例えば、所管行政庁から維持保全状況について報告を求められたにも関わらず、報告を怠った場合です。
修繕の必要がある状況に対して「問題なし」など虚偽の内容を報告した場合も罰則の対象になります!
罰則の内容は、30万円以下の罰金です。罰則以外にも、適切に保全されていないと所管行政庁が判断すると、是正指導や改善命令がくだされます。
改善命令に違反すると、認定を取り消されます!
4. 維持保全計画書の内容は変えられる
メンテナンスの周期や修繕内容を定めた維持保全計画書の内容は、後から変えられます。つまり、定期点検の周期などを見直すことが可能です。
例えば、地震などで臨時点検をしたケースなどが該当するでしょう。数か月後に定期点検が予定されている場合、臨時点検とあわせて実施可能です。
他にも、調査・修繕・改良を行った結果、定期点検の間隔を2年から3年に延ばすなどが挙げられます。ただし、いずれの場合でも勝手な変更は認められていません。
維持保全計画書を変更するには申請が必要です!
5. 点検は自分でもできる
維持保全計画書に従って、毎回の点検をハウスメーカーや業者に依頼するのは費用がかかりすぎると不安な方には朗報です。
維持保全を行う者に対する資格や技能について定めはないため、自分で点検をしても問題ありません。
維持保全記録シートのような点検記録表を使って、紙やデータで保存すれば大丈夫です!(一般財団法人住宅金融普及協会が公表している維持保全記録シートはこちら)
点検をする際には紙に印刷して、バインダーに挟んで点検すると良いでしょう。点検後は点検表をPDF化したり、データ表に入力したりして紛失を防ぐのがおすすめです。
ただし、自分で点検ができるからといって、虚偽の内容を記載してはいけません。壁にひび割れがあるにも関わらず、修理費用を払うのが嫌だからと「修繕の必要なし」と記載すれば、罰則を受けたり認定を取り消されたりするので注意してください。
長期優良住宅で後悔しないためには長期的な判断が必要
長期優良住宅を申請するには費用や時間がかかったり、メンテナンスの記録を残したりするなど、一般的な家づくりとは違った手間が必要になります。
しかし、補助金や特例措置などのメリットも大きく、ポイントを押さえて長期的に見れば、デメリットも気にならないでしょう。
デメリットに上げられがちなメンテナンスですが、どんな家でも長く住むためには必要不可欠です!
長期優良住宅に住む知り合いがいなくて相談できずに困っている方や、初めての家づくりで判断できないと悩んでいる方も多いでしょう。そんな時には「すーさんの相談窓口」を利用してみてください。
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