「ピロティ設計の際の注意点を知りたい」
「地震に弱いって聞いたけど本当?」
「どのような活用方法があるのかな?」
ピロティはガレージなどとは異なり、壁がなく開放的な屋根付き空間です。新築時には、駐車スペースなど様々な目的でピロティの設置を考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、地震に弱いのではないかと不安を感じる方も多いですよね!
そこでこの記事では、ピロティについて以下の内容を解説します。
- 概要
- デメリットと魅力
- 設計時の注意点
- 戸建て事例
ピロティ構造の注意点だけでなく、魅力や事例も紹介するのでぜひ最後までお読みください!
ピロティとは柱だけで構成された吹き抜け空間のこと
ピロティとは、1階部分が柱だけで支えられ、壁がない開放的な空間のことです。ピロティという言葉は、フランス語の「杭」から来ています。
ピロティは、オフィスビルやマンションなどで多く見られる構造です。しかし、一般住宅でも駐車場や半屋外の多目的スペースとして活用が増えています。
屋根付きという機能面だけでなく、建物全体に軽やかで浮遊感のある印象を与えるため、デザイン面でも高く評価されているからです。
デザイン性の高い住宅ではピロティを設ける事例が多くありますね!
ピロティ構造の3つのデメリット
一般の家でピロティを設ける場合、主に以下の3点でデメリットが指摘されます。
- 耐震性能を上げるための費用がかかる
- 階段の上り下りが必要になる
- 居住空間が狭くなりやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 耐震性能を上げるための費用がかかる
ピロティ構造は、壁がなく柱だけで建物を支えています。そのため、地震の際に揺れの影響が柱に集中しやすいのがデメリットとしてあげられます。過去の地震では、ピロティの柱が折れ、建物が倒壊したケースも報告されているほどです。
ただし、ピロティがあるからと、一概に地震による倒壊のリスクが高いわけではありません。ピロティ構造にする場合には、一般に耐震性の高い鉄骨造や鉄筋コンクリート造を採用します。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は高層階の建物にも採用される構造であり、一般的な木造に比べて耐震性が高いのが特徴です。
ピロティ構造でも耐震性の高い鉄筋造や鉄筋コンクリート造を採用すれば安心ですね。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造を採用すると、建築費用が高くなる点には注意が必要です。また、木造住宅よりも重量が重くなるため、建物を支えるために土地の地盤改良が必要になります。
2. 階段の上り下りが必要になる
ピロティ構造では居住空間が2階以上に配置されるため、家の出入りや移動の際に階段を使用する必要があります。年齢を重ねると足腰に負担を感じ、生活の中で不便に感じる可能性があることがデメリットです。
将来のことを考えると、階段の上り下りは負担になるかもしれませんね!
階段の上り下りの負担が心配な方は、一般住宅用のエレベーターの設置を検討してみてください。エレベーターがあれば、高齢者や車いすの方であっても負担を大きく減らせます。
3. 居住空間が狭くなりやすい
1階部分がピロティになるため、居住スペースが制限される点がデメリットです。2階建て程度の居住スペースを確保するには、3階建て以上にするなどの工夫が必要です。
ただし、高層階にするとその分建築費用がかかり、さらに建物全体の強度を上げるための工事が必要になる場合があります。
居住スペースを減らす、または建築費用が高くなっても、ピロティを設置したいかについて慎重に検討する必要がありますね!
ピロティはデメリットばかりではない!5つの魅力を紹介
ピロティの設置は、建築費用が高くなるなどいくつかのデメリットがあります。しかし、それを上回る魅力があることも事実です。こちらでは、設けるメリットを5つ紹介します。
- 多目的スペースとして活用できる
- デザイン性が高い
- 津波や水害に強い
- プライバシーを確保しやすい
- 容積率の制約を受けにくい
一つひとつ見ていきましょう。
1. 多目的スペースとして活用できる
ピロティは駐車場としてだけでなく、さまざまな用途に活用できる半屋外空間です。例えば、子どもたちの遊び場やアウトドアリビングとしてなら、天候に左右されずに活用できます。
壁のない開放的な空間なので、ガレージなどとは違ってBBQをしても煙がこもりませんね!
家族や友人と自宅でちょっとしたアウトドアを楽しみたい方にとって、ピロティは大いに役立つ空間になるでしょう。
2. デザイン性が高い
ピロティ構造は柱だけで建物を支えるデザインが特徴的で、そのスタイリッシュな外観が魅力です。1階部分が吹き抜けていることで、建物全体に開放感を与え、圧迫感のないすっきりとしたデザインを実現できます。
ピロティはデザイン性の高いおしゃれな家で多く採用されていますね!
3. 津波や水害に強い
津波や水害のリスクがある地域では、ピロティ構造は被害の軽減に有効です。1階部分が柱のみで構成されているため、津波のエネルギーを逃がしやすく、被害を最小限に抑えられると言われてます。
ただし、津波は水だけでなく、周辺の家屋なども一緒に押し流してくるため絶対に安心ということはありません!
また、水害が起きた際には居住空間が2階以上に配置されるため、浸水のリスクが軽減されます。
浸水の可能性がある時に、1階にある物を2階に移動させるなどの手間はなくなりますね!
4. プライバシーを確保しやすい
ピロティ構造の住宅は居住空間が2階以上にあるため、通行人や近隣からの視線を気にせずに生活できます。
1階にリビングなどがある場合、道路などからの視線を遮るにはカーテンや外壁などの配置が必要です。しかし、2階に居住空間があれば外からの視線がはずれるため、家の中が覗かれる心配がありません。
カーテンを開け放しても、外から見られる心配がないのは良いですね!
5. 容積率の制約を受けにくい
ピロティ構造は、1階部分が壁で囲まれていないため、延べ床面積に算入されません。延べ床面積に算入されないことは、容積率の制限をクリアしやすくなることを指します。
容積率とは、敷地面積に対する家の延床面積の割合のことです。例えば、土地の面積100㎡・延べ床面積100㎡の場合、容積率は100%です。家を新築する場所が都市計画区域の場合、都市計画法で容積率が制限されています。
特に、細い道に面した土地では容積率の制限は厳しくなりますね!
ピロティのことについて紹介してきましたが、マイホームに向いているのか判断できない方がいるかもしれません。そのような方は、専門家に相談することをおすすめします。
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ピロティ構造の設計時の2つの注意点
ピロティを作る場合には、設計時に以下の2つの注意点があります。
- 壁を設けると延べ床面積に算入されることがある
- 構造計算が必要になる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 壁を設けると延べ床面積に算入されることがある
ピロティ構造は一般的には延べ床面積に算入されませんが、壁を設けた場合は例外です。耐震性をあげるために一部壁を設けるケースは少なくありませんが、容積率に影響を与える可能性があります。
ピロティが延べ床面積に算入されないケースは、壁がないことが大前提です!
どの程度の壁であれば問題がないかは、設計士に細かく確認しましょう。延べ床面積に含まれることになれば、容積率の制限を受けることがあるため、家全体の設計を見直す必要が出てきてしまいます。
2. 構造計算が必要になる
ピロティ構造を作る場合、家は鉄骨造や鉄筋コンクリート造で建築することが一般的です。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造とは違い、構造計算が必要な建物になります。
構造計算とは、建物の安全性を確認するためのもので「建築確認申請書」を提出する際に必要となります。木造住宅の場合は簡易的な壁量計算で建築確認申請が通りますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造ではより複雑な構造計算が必要です。
また、構造計算は専門的な知識を持つ「構造計算適合性判定員」が行うため、費用や時間がかかります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造でピロティを作る場合には、構造計算に必要な費用や時間を考慮する必要があるのですね!
ピロティ構造の家の建築費用
ピロティ構造の家を建てる際、費用は設計次第で大きく変わります。そのため、一概にいくらの費用がかかるということは言えません。
費用を検討する際には、まずピロティ構造の家で一般的な鉄筋造にした場合の費用を目安にしましょう!
木造・鉄筋造・鉄筋コンクリート造の1㎡あたりの建築単価の全国平均は、以下の表のとおりです。
構造 | 1㎡あたりの単価 |
---|---|
木造 | 207万円 |
鉄骨造(S造) | 294万円 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 304万円 |
鉄筋コンクリート造の場合、木造に比べて約100万円も単価があがりますね!
一般的に、ピロティ構造を採用する場合、木造に比べて費用が高くなることが多いです。特に鉄筋造や鉄筋コンクリート造が主流であり、地盤改良の必要も生じるため坪単価が木造に比べて高めになります。
また、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の家の場合、重い重量を支えるための地盤改良工事も必要となります。地盤改良工事の費用は内容にもよりますが、坪単価2~6万円程度です。
このように鉄筋造や鉄筋コンクリート造でピロティを作る場合には、一般的な木造住宅に比べて建築費用が多くかかることを理解しておきましょう。
木造と鉄筋造の違いについては、関連記事の「【これが結論】木造と鉄筋の違いを8つの項目で徹底比較!おすすめな人の特徴も紹介」で詳しく解説しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
ピロティを取り入れた戸建ての事例3選
ピロティを取り入れる場合、様々なコンセプトでの家づくりが可能です。こちらでは、ピロティのある家の事例を3つ紹介します。
- 敷地内を通り抜けられる造り
- 玄関前に配置して車の乗り降りがしやすい造り
- 庭とピロティをつないだ造り
一つひとつ見ていきましょう。
1. 敷地内を通り抜けられる造り
こちらの家は、家の前面と後面が道路に面しているため、ピロティを通って敷地内を車が通り抜けられる構造になっています。
広いピロティは車の駐車スペースだけでなく、様々な活用ができそうですね!
2. 玄関前に配置して車の乗り降りがしやすい造り
玄関前にピロティを設けたこちらの家は、雨に当たらずに車から家に入れることが特徴です。
特に小さいお子さんやお年寄りがいる家では便利ですね!
3. 庭とピロティをつないだ造り
こちらの事例のように、ピロティと庭を一体で設計する方法もあります。BBQや趣味のスペースとして庭と一体的に活用できることが特徴です。
シャッターや壁で仕切られているガレージとは異なり、開放的な空間を最大限に活用できますね!
ピロティ構造はデメリットよりも魅力ポイントが多い
ピロティ構造の家は鉄骨造や鉄筋コンクリート造となるため、建築費用が高くなりがちです。しかし、その分デザイン性や機能性など多くの魅力が備わっています。
屋根付きの開放的な空間は、駐車スペースとしてだけでなく、多目的な活用が可能ですね!
ピロティを作るには、どのような目的で利用したいのかを明確にし、最適な設計を選ぶことでより満足度の高い住まいが実現できます。
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