「新築を建てて災害で損壊することが不安」
「どんな構造の家が災害に強いのかな?」
「災害リスクの低い土地の探し方を知りたい」
大きな地震や水害が近年増えてきていることから、新築を建てることに不安を感じている方は多いでしょう。しかし「災害リスクの低い土地を選ぶ」「震災や水害に強い家を建てる」などの対策は可能です。
この記事では、災害に強い家について以下の内容を解説します。
- 知っておきたい災害リスク
- 土地の選び方
- 災害に強い家を作るポイント
- 災害に強い家にするための付属設備
- 停電・断水に備えられる設備
新築時に押さえておきたい対策を解説しているので、ぜひ最後までお読みください!
災害に強い家を建てるために知っておきたい2つの災害リスク
災害に強い家を建てるために、まずはどのようなリスクがあるのか理解しておきましょう。
- 地震・津波
- 大雨
一つひとつ見ていきましょう。
1. 地震・津波
日本は地震大国と言われるほど、多くの地震が発生する国です。この10年で熊本地震(2016年)、胆振地方中東部地震(2018年)、福島県沖地震(2022年)、石川県能登半島地震(2024年)と4度もの大震災が発生しています。
2011年の東日本大震災では、地震と津波の両方によって甚大な被害が発生しました。
全壊した建物は約13万棟、半壊は約26万棟にのぼり、多くの家族が住まいを失いました!
これから起こるかもしれないといわれている都心南部直下地震では、東京都23区の約6割が震度6強の揺れを受け、約194,431棟の建物被害が想定されています。
2. 大雨
毎年のように日本各地で大雨による浸水や土砂災害が発生していますよね!
近年は線状降水帯の発生により、狭い範囲に集中して猛烈な雨が降ることが増え、災害を引き起こしています。
2022年8月には東北地方や北陸地方を中心に断続的に猛烈な雨が降り、床上浸水が1,710棟、床下浸水が4,381棟、合計で7,042棟の被害が報告されました。
災害に強い家を建てるには土地が重要!2つの土地の見極め方を解説
災害に強い家にするためには、まず土地選びが重要です。こちらでは、以下の2つの土地について解説します。
- 地震に強い土地
- 大雨に強い土地
災害に強い土地の選び方について紹介しているので、それぞれチェックしていきましょう。
1. 地震に強い土地
地震に強い土地とは、地盤が固い土地のことです。固い地盤は地震の揺れに対して安定しており、建物が沈下するリスクが低くなります。一方で現在は埋め立てられていても、以前川だった土地は軟弱で、地震時に大きな被害を受ける可能性があるため注意が必要です。
例えば、2024年の能登半島地震では、新潟県新潟市の「旧河道」だった地域で大規模な液状化被害が発生しました!
関東地方の関東ローム層でできた土地は、建物を支える地耐力はあるものの、軟らかいため地震の揺れを増幅させると言われています。
土地を選ぶ際には「国土交通省ハザードマップポータルサイト」を使った地形分類の確認が有効です。「旧河道」「旧水部」などを地図で確認できるため、土地を購入する際に、元々どのような地形の場所であったのかをチェックできます。
土地購入の際にはハザードマップで災害リスクをチェックすることは必須ですね!
2. 大雨に強い土地
大雨に強い土地も地震と同様に「国土交通省ハザードマップポータルサイト」で確認できます。ハザードマップでは洪水時にどの程度の高さまで浸水するかを確認でき、安全な土地選びの役に立ちます。
また水害リスクの高い土地は、地名から推測することも可能です!
例えば「沢」や「池」などの地名がついた場所は、昔から水害が多かったことが予想できます。
実際に現場に行って、基礎が高い家が多いなど既に建っている住宅の様子を確認することもリスクの判断に役立つでしょう。
災害に強い家を建てる7つのポイント
災害に強い家を作るには、以下の7つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 耐震等級
- 形状
- 工法
- 耐震・制震・免震設備
- 外壁
- 屋根
- 基礎
一つひとつ詳しく見ていきましょう。
1. 耐震等級
耐震等級は建物の耐震性能を示す指標で、以下の表のとおり「耐震等級1」「耐震等級2」「耐震等級3」の3つのレベルに分けられます。
等級の数字が大きいほど耐震性能が高くなります!
等級3は消防署や警察署などの重要施設と同等の耐震性能を持つとされています。
等級 | 内容 |
---|---|
耐震等級1 | 建築基準法の耐震基準と同じ強度を持つ建物 |
耐震等級2 | 地震に対する耐久力が耐震等級1の1.25倍 |
耐震等級3 | 地震に対する耐久力が耐震等級1の1.5倍 |
この耐震等級は、2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく「住宅性能表示制度」の評価項目の一つです。
家の設計時にはハウスメーカーや設計事務所に必ず耐震等級を確認しましょう!
2. 形状
建物の形状は、地震や強風に対する耐久性に大きく影響します。四角形や長方形などシンプルな形状の住まいは、力が均一に分散されるため、地震や風の力に対して強くなります。
複雑な構造の家は一部の壁や柱に負担が集中し、破損しやすくなりますね!
複雑な構造とは、例えば「L字型」や「U字型」の建物を指します。また、凹凸の多い外観は風の抵抗を受けやすく、台風などの強風で被害を受ける可能性が高まります。
設計段階でシンプルな形状を選び、可能な限り均一な力が加わる構造にすることが大切です。
3. 工法
家の強度は、建物を建てる構造・工法によって大きく変わります。構造では木造に比べると、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は強度が高くなります。工法では「耐力壁」を入れた「枠組工法」や「ラーメン工法」など、柱や梁だけでなく、面で家を支える方法が主流です。
主な工法は、以下の表を確認してみてください。
工法 | 内容 |
---|---|
木造軸組工法 | 柱と筋交いで家を支える工法 |
木造枠組壁工法 (2×4工法) | ・壁で家を支える工法 ・圧力壁を増やすことで強度が上がる |
木質パネル工法 | ・工場生産した構造体を現場で組み立てる工法 ・外力が面全体に分散するため強度が高い |
軽量鉄骨軸組工法 | 軽量鉄骨の柱と筋交いで家を支える工法 |
重量鉄骨ラーメン工法 | 強度の高い重量鉄骨の枠で構造を作る工法 |
ラーメン工法、 壁式工法 | ・鉄筋で補強されたコンクリートの枠組みで家を支える工法 ・最も強度が高い |
災害に強い構造・工法は、各ハウスメーカーで独自の技術を開発しています。
災害に強い構造・工法は建築コストが高くなりがちであるため、予算面とのバランスも意識しながら検討することが大切です!
地震に強い家を建てられるハウスメーカーについては、関連記事の「【暮らしを守る】地震に強いハウスメーカー10選!選び方や耐震性の高い家の特徴を紹介」で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
4. 耐震・制震・免震設備
耐震・制震・免震はそれぞれ異なる特徴を持つ設備ですが、いずれも地震対策として有効です。「耐震」は建物自体を強くする構造で、部材の接合部を金具で補強することで地震に耐える力を持たせます。
「免震」は建物と基礎の間にダンパーを入れ、地震の揺れを建物に伝えにくくする仕組みです。揺れそのものを大幅に軽減できる仕組みで、高層ビルや公共施設で用いられていますが、個人住宅でも導入が増えています。
「制震」は、ダンパーを用いて揺れを吸収する方法です。建物内部に設置されたダンパーが揺れを吸収し、建物全体の振動を和らげます。家具の転倒や内装の破損を防げる技術です。
それぞれの仕組みの違いは、以下の表を確認してみてください!
構造 | 内容 |
---|---|
耐震構造 | ・地震の揺れに対して十分に耐えられるように設計された構造 ・柱・梁・床・壁等を有効に配置して建物の構造体で支える仕組みであり、多くの戸建住宅で耐震対策に用いられている |
免震構造 | ・建物内部にダンパー等を組み込み、地震による振動を吸収する仕組み ・振動を吸収することで、柱・梁・壁の損傷を抑えられる |
制振構造 | ・建物と土地の間に免震装置を設置して、建物に揺れを伝えにくくした構造 ・導入コストは高いが、振動を和らげる効果があるとされ家具の転倒防止も期待できる |
構造を理解することで、土地に適した住宅を建てられるでしょう。
耐震・制震・免震設備については、関連記事の「【全部正解】マイホームの耐震・免震・制震はどれがいい?違いやメリット・デメリットを解説」で詳しく紹介しています。こちらもぜひチェックしてみてください。
5. 外壁
外壁は、強風や飛来物から家を守る重要な役割を担っています。災害に強い外壁は、「タイル」や「金属系サイディング」が挙げられます。
金属系サイディングは、ガルバリウム鋼板などを使用し、耐久性と防水性に優れていますね!
また、水の浸透を防ぐために外壁塗装が効果的です。塗膜の寿命は約10年であるため、定期的なメンテナンスが必要です。
外壁材の選び方や塗装の方法については、専門家に相談し、最適なものを選びましょう。
6. 屋根
屋根は、建物全体の重量に大きく影響します。重い屋根は地震時に揺れが増幅されるため、耐震性を高めるためには軽量な屋根材を選ぶことがおすすめです。
例えば、瓦屋根は1坪あたり約150kgと非常に重く、地震時に大きな負荷がかかります!
軽量な屋根材としては「スレート屋根」や「ガルバリウム鋼板」が知られています。スレート屋根は1坪あたり約70kg、ガルバリウム鋼板は約17kgと、瓦屋根に比べて大幅に軽量です。
軽量な屋根材を選ぶことは、建物への負荷を軽減できるのですね!
7. 基礎
建物の基礎は、家全体を支える重要な部分です。基礎の種類は、大きく分けて「ベタ基礎」と「布基礎」の2種類です。
ベタ基礎は面で家を支えるため、耐震性が高く、湿気による腐食やシロアリ被害を防ぐ効果もあります。
一方で、布基礎はコストが低く施工が簡単ですが、耐震性に劣るため地震対策としてはベタ基礎の方が適しています。
「ベタ基礎」と「布基礎」の違いは、以下の表で確認してみてください。
種類 | 特徴 |
---|---|
ベタ基礎 | ・厚いコンクリート基礎の面で建物を支えるため耐震性が高い ・建物に湿気が伝わりにくく腐食やシロアリ被害を防げる ・コストが高い |
布基礎 | ・基礎の立ち上がり部分のみで建物を支えるため耐震性が低い ・湿気が上がりやすく腐食やシロアリ被害を受けやすい ・コストが低い |
コストだけで判断するのではなく、メリットやデメリットも確認しておくことが大切です。
なお、地震に強い家の設計に不安がある方は、すーさんの相談窓口をご利用ください。
ハウスメーカーの営業マンとして15年の経験のある私が、無料で設計のポイントなどをアドバイスいたします!
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災害に強い家を建てるために検討したい付属設備3選
災害への強度を高めるには、家の付帯設備の確認も必要です。具体的には、以下の3つの設備の導入がおすすめです。
- 造作家具
- シャッター
- 合わせガラス
一つひとつ見ていきましょう。
1. 造作家具
造作家具とは、建物の構造に組み込まれた家具のことです。地震による転倒のリスクがないため、揺れで人が押しつぶされる心配がありません。また、部屋がすっきりと見えるため、デザイン性にも優れています。
造作家具の設置は、設計段階での計画が必要ですが、長期的な安心感を考えると非常に有効な対策です!
2. シャッター
シャッターは、台風などの猛烈な風から窓ガラスを守る効果が期待できます。窓が割れると家の中が濡れてしまい、家具や家電の買い替えが必要になるなど、損失が大きくなります。
台風の多い地域では、窓にシャッターを設置する家庭が増えていますね!
3. 合わせガラス
合わせガラスとは、特殊フィルムを挟み込んだ2重のガラスのことです。ガラスが割れても破片が飛散しないため、シャッター同様に窓ガラスの防護として効果的です。
窓ガラスが割れてしまったとしても飛散しないのは安心ですね!
合わせガラスの設置は、既存の窓ガラスを交換する形で行えます。災害対策としてはもちろん、防音性能も高いため、日常生活の快適性の向上も期待できます。
停電・断水時に安心できる設備4選
災害時の停電や断水に不安を感じる方は多いですよね!
2024年の能登半島地震では、停電や断水が長く続いたため、長期間にわたって不便な生活を強いられました。停電や断水対策としては、以下の4つの方法が挙げらます。
- エコキュート
- 太陽光パネル・蓄電システム
- 蓄電池
- 避雷器
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. エコキュート
エコキュートはお湯を作るための設備ですが、貯湯式であるため、停電時にお湯や水を生活用水として使える点が特徴です。
飲み水としては使えませんが、断水時の生活用水として役立ちますね!
エコキュートは通常の給湯器よりも省エネルギーであり、日常生活でも光熱費を削減できます。環境にも優しいため、普段の生活においてもメリットが多いです。
設置には初期費用がかかりますが、長期的には節約効果も期待できるため、検討する価値があるでしょう。
2. 太陽光パネル・蓄電システム
太陽光パネルと蓄電システムの組み合わせは、停電時に非常に有効です。太陽光パネルで発電した電気を蓄電システムに貯めることで、停電時にも電灯や冷蔵庫などの家電を使用できます。
災害時に長期間の停電が発生した場合には、蓄電システムがあれば、昼間に太陽光で発電し、夜間に貯めた電気を使えます。
災害時でも夜間に照明が使えて、スマホの充電やテレビが使えるのは安心ですね!
太陽光パネルと蓄電システムの導入は初期費用が高いですが、日常生活でも光熱費の削減が期待できるため、長期的には経済的です。
3. 蓄電池
家庭用の蓄電システムは高額であるため導入が難しい場合は、より手軽に導入できる「蓄電池」がおすすめです。蓄電池はコンパクトで持ち運びが容易なため、避難所に持ち込んでの使用も可能です。
災害時に避難所で電源が確保できない場合でも、蓄電池があればスマホの充電や小型家電を使用できます。
コストパフォーマンスが良いため、初期投資を抑えつつ災害対策を強化したい方におすすめです!
「エコでんち」の記事「蓄電池はつけてよかった?理由や注意点までわかりやすく解説!」では、太陽光発電・蓄電池の設置について詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
4. 避雷器
雷が落ちると、電線を通じて建物内に過剰な電圧がかかり、家電製品が故障する可能性があります。避雷器を設置することで、家電製品が故障するリスクを大幅に減らせます。避雷器付きの分電盤もあり、家庭全体の電気回路を守ることが可能です。
雷が多い地域では、避雷器の設置が標準化されつつありますね!
災害に強い家づくりは新築時が肝心
災害に強い家を作るには、まず土地選びから慎重に行う必要があります。災害の少ない土地を選ぶことで、リスクを大幅に下げられます。土地選びの際には、ハザードマップを活用し、過去の災害履歴や地盤の状態を確認しましょう。
家づくりの面では、各ハウスメーカーが地震に強い家を開発しているため、信頼できるメーカーを選ぶことが大切です。工法や設備におって災害強度が大きく変わることから、専門家の意見を参考にしながら最適な方法を選びましょう。
地震に強い家を作れるハウスメーカー探しや工法、設備の疑問については、すーさんの相談窓口をご活用ください。
第三者の専門的なアドバイスを受けることで、ハウスメーカーや設計事務所の説明では解決できなかった不安を解消できます!