「賃貸と持ち家はどっちがお得?」
「それぞれのメリット・デメリットを知りたい」
「どっちが向いているのか見極めるポイントを教えてほしい」
賃貸のままか持ち家かという問題は、家の購入を検討する方にとって大きな選択肢のひとつです。
とくに持ち家の場合、住宅ローンを組むタイミングを考える必要もあり「いつか決めればいい」と後回しにすると、返済に苦労したり、賃貸しか選べなかったりするリスクが高まります。
一生住む家を決めるなら、賃貸と持ち家の特徴をじっくり比較して後悔しない選択をすることが大切です。

この記事では、大手ハウスメーカーに15年間勤務した僕が、以下の内容を解説します!
- 賃貸と持ち家のメリット・デメリット
- 賃貸と持ち家を比較(生涯コスト・老後)
- おすすめの人の特徴
ぜひ参考にして、どちらの形態を選ぶべきなのか検討してみてください。


賃貸と持ち家のメリット・デメリットを比較


まずは賃貸と持ち家のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく紹介します。



よい点だけでなく、デメリットとあわせてどちらがご自身に向いているのか確認してみてくださいね!
賃貸の5つのメリット
賃貸のメリットを5つ紹介します。
- メンテナンスを気にしなくて済む
- 固定資産税を支払わなくてよい
- ライフスタイルに合わせて自由に物件を選べる
- 収入に見合った家賃に調整できる
- 持ち家に比べると初期費用が安い
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. メンテナンスを気にしなくて済む
賃貸物件の場合、設備に不具合が出たときには家主や管理会社が対応してくれます。借主の責任でない場合には、費用を負担せずに修理してもらえます。
建物の老朽化によるメンテナンスや災害時の修繕などもオーナーが負担してくれるので、一度に多額の支払いが発生することはほとんどありません。



定期メンテナンスのタイミングは貸主から通達されるので、自分でスケジュールを組まなくてもいいのが楽ですね!
2. 固定資産税を支払わなくてよい
賃貸であれば、基本的に固定資産税や都市計画税などの税金の支払いは不要です。
賃貸物件のおもな負担は家賃のほか、共益費や更新料の支払いです。賃貸物件に住むことによる税金の支払いはありません。
3. ライフスタイルに合わせて自由に物件を選べる
賃貸物件であれば、気軽に住み替えできます。たとえば、転勤が決まったときや家族が増えたときなど、ライフスタイルに合わせてその都度最適な家に引っ越せます。
持ち家よりも住む場所や間取りを自由に選択できるのが、賃貸のメリットのひとつです。



引っ越しが好きな人も、賃貸なら気楽に住み替えできますね!
4. 収入に見合った家賃に調整できる
賃貸は毎月決められた家賃を支払うスタイルです。収入が減ったら家賃の低い家に引っ越し、増えたらグレードの高い家に住み替えることも可能です。



今後収入が減る予定のある方は、家賃を低くして固定費を削減できる賃貸だと安心ですよね!
5. 持ち家に比べると初期費用が安い
持ち家は、ローンの頭金や契約に関する諸費用を合わせると、数百万円ほどの多額の初期費用が必要です。一方、賃貸物件を借りるのに必要な初期費用は数十万円程度に収まることがほとんど。
以下は賃貸物件の初期費用の内訳です。
- 仲介手数料:家賃の0.5~1ヶ月程度
- 家賃保証料:家賃の0.5ヶ月程度
- 敷金・礼金:各項目ともに家賃の1ヶ月程度
- 火災保険料:2万円程度
- 引っ越し費用:30万円程度
賃貸の初期費用は、だいたい家賃の3~4ヶ月程度と考えておくとわかりやすいでしょう。



住宅ローンの審査が不安な方も、賃貸物件なら自己資金でまかなえますね!
賃貸の5つのデメリット
賃貸のデメリットを、5つの項目に分けて解説します。
- 毎月家賃の支払いが発生する
- 一定の年齢をすぎると入居条件が厳しくなる
- 自由にリフォームできない
- 自分の資産にできない
- 物件の選択肢が限られている
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. 毎月家賃の支払いが発生する
一生賃貸と決めた場合、退職後も家賃を払い続けなければなりません。定期的に更新料の支払いも発生するため、費用が増える月もあります。



持ち家の場合、ローンを払い終えれば支払いの負担はかなり軽くなりますよね!
老後資金が十分でない方は、賃貸に住み続けるには生活費を削らなければならないリスクもあります。
2. 一定の年齢をすぎると入居条件が厳しくなる
賃貸物件に住めるかどうかを決めるのは大家さんです。高齢で支払いに不安があると判断されれば、入居を断られる可能性があります。



すでに住んでいる物件でも、身元保証人がいないと契約の更新ができないケースもあります…
高齢者世帯向けの賃貸物件もありますが、選択肢の幅は広いとはいえません。一生賃貸で過ごすことを選択する方は、老後の住まいを考える必要があります。
3. 自由にリフォームできない
賃貸は、基本的に設備や間取りを自由に変更できません。持ち家であれば、家族の増減や老朽化に合わせて自由にリフォームできます。
賃貸で設備や間取りを変えたい場合、大家さんの了承を得られなければ引っ越すしかありません。
4. 自分の資産にできない
持ち家は住宅ローンの支払いが発生しますが、完済すれば家が資産になります。



賃貸だと、家賃を払い続けても自分の家になることは一生ないんですよね…
賃貸を選択すると、老後になって「家賃を住宅ローンに回していれば、今ごろは持ち家があったはずだ」と後悔してしまう可能性もあります。
5.物件の選択肢が限られている
持ち家であれば、土地も間取りも自分で自由に決められます。しかし、賃貸だと希望する立地と間取りがぴったり合う物件を探すのはなかなか困難です。



希望に合う家が見つからなければ、何かを妥協しなければなりません。そうなると、100%満足いく生活は叶いません…
持ち家の5つのメリット
持ち家のメリットを5つに分けて解説します。
- ローンを完済すれば住居費の負担がなくなる
- 人に貸したり売ったりすることで収入を得られる
- 自由にリフォームできる
- 団体信用生命保険に加入できる
- 自分の資産になる
それぞれ詳しく見てみましょう。
1. ローンを完済すれば住居費の負担がなくなる
持ち家なら、ローンを完済してしまえば毎月決まった金額を支払う必要がありません。浮いたお金を老後資金として貯めたり趣味に使ったりできます。



ローンを完済すると気分も軽いですよね!
毎月数万円の負担がなくなれば、老後の不安もかなり軽減できるでしょう。
2. 人に貸したり売ったりすることで収入を得られる



持ち家は用途が自由です!
持ち家なら、人に貸して家賃収入を得たり、売却して資金を作ったりできます。たとえば、子どもとの二世帯住宅に住み替えて、自分たちが今まで住んでいた家を貸し出せば、毎月まとまったお金を受け取れます。
年金にプラスできる資金があると、暮らしに余裕ができるでしょう。
3. 自由にリフォームできる
持ち家なら、誰かの許可を得る必要がなく自由にリフォームできます。増改築や間取りの変更も自由にできるので、家族の増減に合わせて最適な住まいを選べます。



生涯住むことを考えて、勤務先へのアクセスや学校への通いやすさなど、いい立地を選んでおくと安心ですね!
家を建てる際に、リフォームを視野に入れた間取りにしてもらうのもおすすめです。
4. 団体信用生命保険に加入できる
住宅ローンを組む際には、任意で団体信用生命保険(団信)に加入が可能です。団信は、住宅ローンの契約者に万が一のことがあれば、残高分が保険会社から支払われます。



自分に万が一のことがあっても、家族が住み続けられると安心です!
団信は保険会社により内容が異なります。死亡時だけでなく三大疾病に罹患した際に適用されるケースもあるので、内容をしっかり吟味して選ぶことが大切です。
ただし、健康状態によっては加入できないケースもあります。
5. 自分の資産になる
持ち家は自分の資産になるため、売ったり親族に譲渡したりできます。家を担保にして銀行から融資を受けることも可能なので、まとまった資金が必要になったときに助かりますよ。



リバースモーゲージを利用すれば、自宅を担保にして住宅ローンを借りられます!
「また住宅ローンを借りる必要があるの?」と思うかもしれませんが、たとえばリフォーム資金が足りないときに便利です。
持ち家の4つのデメリット
持ち家を購入する場合のデメリットも見てみましょう。
- 修繕費を自分で払う必要がある
- 地震や火災などで建物が損傷した場合の負担がかかる
- 固定資産税等の支払いが必要になる
- 環境の変化があっても柔軟な対応が困難である
それぞれ詳しく解説します。
1. 修繕費を自分で払う必要がある



同じ家に長く住んでいると、設備に不具合が出たり壁や屋根の補修が必要になったりします!
持ち家の場合、修繕費はすべて自己負担です。
大きな工事であれば100万円単位のお金が必要になることもあり、計画的にメンテナンス費用を貯めておく必要があります。
2. 地震や火災などで建物が損傷した場合の負担がかかる
地震や火災などの自然災害に、所有者が対処しなければなりません。火災保険や地震保険に入ったとしても、保険でカバーできない部分は自己負担です。



賃貸も火災保険に入りますが、持ち家に比べると自己負担は少ないでしょう!
自然災害に備えてあらゆる保険に入っておくと安心ですが、保険料の支払い負担が増える点には注意が必要です。
3. 固定資産税等の支払いが必要になる
持ち家を選ぶと、固定資産税や都市計画税がかかります。中古物件を購入する場合は、引き渡しの際に税金の精算をおこなうことがほとんどです。



ただし、一定の要件を満たすと住宅ローン控除が受けられるので、負担は軽減できますよ!
4. 環境の変化があっても柔軟な対応が困難である
遠方に転勤が決まったり、子どもの通学が遠かったりしても、持ち家を移動できません。一人暮らしを選択するか、家を売却するかなど、大きな選択を迫られます。



転勤が多い方はその都度家を売却するのは現実的ではないので、単身赴任か賃貸を選ぶ方が多いです!
「こんなケースはどっちがおすすめ?」「家のプランがなかなか決まらない」など、住まいに関する悩みがある方は、すーさんの相談窓口へご相談ください。無料で、住宅のプロがあなたのお悩みを解消する手助けをします!
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生涯コストはどれくらい?賃貸と持ち家を比較


賃貸と持ち家で、生涯コストの違いを見てみましょう。
- 住宅ローン・家賃
- その他住居費
- 税金
- 設備
- 火災保険
5つの項目に分けて解説します。
1. 住宅ローン・家賃
住宅ローンと家賃の生涯コストの違いを比較してみましょう。どちらも35年間支払う場合の単純なコストで比較します。
なお、住宅ローンについては「住宅ローンシミュレーション」を元に算出しています。
家賃(10万円) | 住宅ローン | |
---|---|---|
毎月支払額 | 100,000円 | 94,822円 ※条件 借入額:3,000万円 返済期間:35年間 金利:1.7%(固定金利) + 頭金 1,000万円(4,000万円の物件) |
総支払額 | 4,200万円(更新料は含まない) | 4,982万5,335円 |
上表は単純な計算です。住宅ローンをボーナス払いにしたり、賃貸の家賃を上げたり下げたりすれば、生涯コストは変わります。



住宅ローンの場合は、物件価格や建物価格により総支払額が変わります。あくまでも参考程度にしてみてください!
住宅ローンのシミュレーションについては無料で使える「モゲチェック」がおすすめです。自分に合う金融機関も探せるので、ぜひチェックしてみてください。
モゲチェックの詳細は、関連記事「【金利0.1%の差が命取り】住宅ローンの負担を下げるにはモゲチェックがおすすめ!使い方をわかりやすく解説」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください!


2. その他住居費
家賃や住宅ローン以外の住居費の違いは、以下のとおりです。
賃貸(家賃10万円の場合) | 持ち家(購入価格4,000万円の場合) | |
---|---|---|
生涯コスト | ・敷金・礼金・仲介手数料など:30万円(家賃の3ヶ月分が目安) ・更新料:175万円(2年毎、家賃1ヶ月分の場合×35年間) ・引っ越し代:210万円(5年ごと、1回30万円の場合) | ・諸費用:160万円(物件価格の4%) ・修繕積立金・管理費:840万円(※マンションの場合:毎月2万円×35年間) |
総支払額 | 415万円 | 1,000万円 |
修繕積立金・管理費は、マンションの場合です。



戸建ての修繕費は30年間で400~800万円程度かかる(参考:長谷工の住まい)ので、マンションの修繕積立金・管理費とほぼ同等と考えていいでしょう!
3. 税金
賃貸と持ち家の税金の比較は、以下のとおりです。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
35年間にかかる税金の目安 | 0円 | 455万円~700万円 ※減税措置を加味しない単純計算 |
賃貸は税金がかかりません。持ち家は、固定資産税や都市計画税がかかります。
固定資産税は、不動産の評価により変化しますが1.4%としているところがほとんどです。金額で年間10~15万円程度が目安です。
都市計画税は、上限が0.3%と定められており、納税額は3~5万円程度となっています。



固定資産税は減額措置があり、新築なら3~5年間は1/2に減額されます!
4. 設備
設備費用については、賃貸と持ち家が一概にいくらとはいえません。
賃貸であれば、設備の修理や交換はオーナー負担であることがほとんどです。持ち家の場合は自己負担ですが、どのタイミングで交換するのかは各家庭により異なります。



設備費については、どんなグレードを選ぶかによっても大きく変わってきますよ!
最新設備に交換するとなれば、それだけ費用負担が増えます。
5. 火災保険
賃貸と持ち家の火災保険の比較は、以下のとおりです。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
35年間にかかる火災保険の目安 | 35万円 | 105万円 |
賃貸はオーナーが加入している火災保険に加入するため、年1万円程度がかかるといわれています。持ち家は補償内容により保険の金額が異なります。



なお、住宅ローンを借りる際は火災保険への加入が条件となっていることも多く、持ち家でも加入は必須です!
賃貸は補償対象が家財のみのケースが多いですが、持ち家の場合は建物と家財が対象となるため年3万円程度が相場です。
賃貸と持ち家の価格差については、関連記事「【プロが解説】賃貸と持ち家で1,300万円の差は出る!生涯コストやそれぞれのメリットを解説」にて詳しく解説しています。具体的な金額が知りたい方は、ぜひチェックしてみてください!


老後に暮らすなら?賃貸と持ち家を比較


老後に暮らすことを考えた場合の、賃貸と持ち家を比較してみましょう。
賃貸 | 持ち家 | |
---|---|---|
メリット | ・収入に見合う家に引っ越すことで出費を抑えられる ・生活スタイルに合う家を探せる | ・リバースモーゲージにより家と土地を担保にしてお金を借りられる ・自分の資産になる |
デメリット | ・収入状況などにより新たに家を借りられない可能性がある ・保証人がいなければ、現在住んでいる家でも更新できないリスクがある ・家賃や更新料の負担が軽減されることがない | ・近くに病院やスーパーなどがなく利便性が悪い立地を選ぶと、通院や買い物に苦労する ・老後住みやすいように大幅なリフォームが必要になる可能性がある |



老後のことを考えると、持ち家のほうがメリットは多いと考えられます!
退職後にも家賃を払い続けるとなると、生活費が足りなくなる可能性も。持ち家なら、ローンを完済していれば出費を抑えられます。
また、売却して高齢者施設に入る資金にもできるので、さまざまな選択肢から自由に選べるのがメリットです。
住宅ローンの借り入れには年齢制限があるので、持ち家を選択したいと考える方はなるべく早めに決断する必要があります。
賃貸と持ち家どっちがいい?向いている人の特徴を比較


賃貸と持ち家、どちらがいいか迷っている方に、それぞれ向いている人の特徴を紹介します。
賃貸が向いている人 | 持ち家が向いている人 |
---|---|
・今後住む場所が変わる予定のある人 ・生活費を抑えたい・収入が安定していない人 ・健康状態が良好でない人(団信に加入できないため) ・家のメンテナンスの手間をかけたくない人 ・住宅ローンの審査に通らない人・組みたくない人 | ・資産を残したい人 ・リフォームを考えている人 ・収入が今後も安定するor増える予定の人 ・老後も安心して暮らしたい人 ・ライフプランが決まっている人 |



ここまで紹介してきた賃貸と持ち家の比較も参考に、ぜひ最適な形態を選んでくださいね!
賃貸と持ち家の特徴をしっかり比較して最適な家を選ぼう


賃貸と持ち家には、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらが向いているかは、経済状況やライフスタイルなどで異なります。
持ち家がほしい方は、定年までにローンを払い終えるように早めに行動することが大切です。
家づくりに迷っている方は「すーさんの相談窓口」にお気軽にご相談ください。



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